2005年8月アーカイブ
インプラントを考える歯医者
インプラントは今後ますます必要とされる治療法です。
ただ、インプラントを希望される患者さまというのは、そもそも何らかの原因で、歯牙を保存できずに抜歯に至っているはずです。
そしてむし歯や歯周病、歯根破折がその原因として挙げられることと思います。
インプラントそれ自体はむし歯にはなりませんが、抜歯をした後でも、歯周病や歯根破折が発生しやすい体質は依然として存在しているわけです。
(インプラントも口腔衛生状態不良による細菌感染や負担できる以上の力を受けた場合など歯牙と同様に使用不能となります。)
そのような患者さまには十分に診査・診断してから、インプラント治療を行う必要があります。
インプラントを埋入するのは、それほど困難な治療ではありません。
しかし、症例によっては、自分の歯の代わりとしてインプラントを使用するのは困難な場合があります。
堀歯科医院では、私と歯科治療を通して、
一生付き合って行くくらいの気持ちで、定期健診に来院される方以外には、インプラント治療を行いません。
また歯ぎしりや食いしばりなどで歯牙を喪失した方には、インプラントを希望されてもこちらからお断りする場合すらあります。
抜歯に至った経緯やその背景を重視し、インプラント治療を行うべきだと考えています。
歯医者のインプラントの考え
他の歯医者さんでインプラント治療を受けた方が来院されました。
インプラントの一本奥の歯が動くのが気になるというのです。
咬み合わせを診査した結果、インプラントが全く咬んでいないために、それよりも後ろの歯に力が集中していることが判明しました。
インプラント治療を行った歯医者さんはインプラントをなるべく長く持たせたいという思いで、そのような咬み合わせにしたのでしょう。
インプラントは、細菌性プラークの付着と側方の咬合力によりダメになる場合が多いですが、今回のケースでは、
咬合力をかけたくない症例であると、治療を行った歯医者さんは考えたのかもしれません。
インプラントには歯には存在する反射がありません。このためインプラントには過大な力がかかりやすいのです。
しかし、インプラントが長持ちしても、それ以外の歯がすぐにダメになってしまうのでは本末転倒です。
本来インプラント治療というのは、残っている歯の負担を増大させないようにするのが重要です。
そのため、ある意味インプラント治療は予防歯科に属するという考え方もあるくらいです。
埋入する場所に骨があれば、インプラントは比較的容易に埋入できるかもしれません。
でもそれが機能して初めてインプラント治療を行った価値が生まれると考えています。
他の歯医者さんの行った治療を見て、考えさせられる今日この頃です。
歯医者の勉強(インプラント)
インプラントのセミナーを受講してきました。
「上顎インプラントについて考える」??予知性を考慮した再生療法??です。
上顎インプラントは下顎にはない難しさがあり、下顎にしかインプラントをしないという歯医者もいます。
上顎は下顎と比較して骨密度が低いため、仮にインプラントがオステオインテグレーションしても、 果たして咬合力に耐えることができるのか?などの疑問の声もありました。
ところが、再生療法を併用することで、上顎でも骨密度がアップするため、 以前よりも安心してインプラントを埋入することができるようになったそうです。
インプラントも日進月歩ですね。
会場には数百名もの歯医者が熱心に講演に耳を傾けていました。
個人的には慈恵医科大学の耳鼻科の先生のお話が興味深かったです。
というのも、歯科と耳鼻科は取り扱う領域が隣接しており、上顎のインプラントを行ううえで、耳鼻科領域の知識も必要となるからです。