2011年3月アーカイブ
歯がなくなると認知症になる?!
某有名インプラントロジストの症例を通して。
先日、有名歯科医師のインプラント症例を拝見させていただきました。
某有名歯科医師の抜歯即時インプラントです。
インプラントは数多く手がけているのかもしれませんが、私が拝見するに、抜歯即時インプラントについてはその歯科医師は初心者であるという印象を受けました。
実は、抜歯即時インプラントでは、必要とされる要件があります。
インプラントケース : 44
今回のインプラントは、上顎右側臼歯部。
先に抜歯を行い、その後歯槽骨にインプラントを埋入していきます。
11.5ミリの長さを確保できることがCTによるシュミュレーションで事前に分かっていたので、今回はソケットリフト等の骨造成をしない予定で進めることとしました。
サイナスまでぎりぎりの長さのインプラントを埋入し、バイコルティカル(インプラントのネックと先の部分の両方を皮質骨に絡ませるテクニック)を狙いました。
インプラントケース : 43
今回のインプラントは、左下臼歯部です。
歯根破折した第二小臼歯を抜歯するとともに、同部位とその後方に2本のインプラント埋入です。
第二小臼歯は歯根破折しているだけに破折線が複数あり、完全に抜歯できているのか、
レントゲンでの確認が必要となりました。
あなたの歯がなくなる理由
堀歯科医院に30年以上に亘って歯の治療を行なっている方が来院されました。
入れ歯のバネをかけていた犬歯が痛んできたのです。
痛んできた歯の後方には歯がないところが3本あり、その部分が負担するべき咬合力は当然のことながら、その痛んできた犬歯にずっしりとかかっていたのです。
もちろん、歯の痛みを取る処置をすれば、犬歯の痛みを取ることは私たち歯科医師にとっては朝飯前です。
しかしながら、その歯がなぜ痛みを感じることになったのかといえば、過大な咬合力を負担しなくてはならなかったことに原因があります。
将来インプラント治療を受けずにするために必要なこと
実は、矯正歯科専門医の多くは咬合調整を行ないません。
専門医であるがゆえに、歯の位置を変化させることだけが仕事になっているのかもしれませんが、歯科医師としてもっとも必要とされる技術は咬み合わせ治療です。
(咬み合わせ治療という大きいくくりの中にインプラント治療や歯列矯正があるということになります。)
ということは、患者さまが歯科医院で歯列矯正を行ない、一つ一つの歯が理想的な位置に配置されたとしても、実は咬み合わせが理想的な状態となることはないということも意味します。
これは被せの治療を受けていたり、歯の咬耗の程度が激しい成人矯正において、顕著に認められる現象です。
これはなぜなのでしょう。
それぞれの歯は歯列矯正を行う以前の位置で受けた咬耗が存在するために、咬むことはありません。
またそれだけではなく、歯列矯正以前の位置で受けた咬み合わせで咬耗するべきところが全く咬耗していないわけですから、うまく咬むには歯が過剰に盛り上がっているということになります。
すなわち、ここについてもうまく咬むことはないということになります。
ということは、咬んで欲しいところが咬み合わせが低いために咬むことがなく、咬むべきでないところが異常に盛り上がることでぶつかっているという状態であるということになります。
(歯列不正という問題を抱えている方が歯列矯正をしただけでは、安定した咬み合わせを獲得するケースは少ないと考えられます。)
入れ歯を入れると歯がなくなる理由その2
入れ歯が動かないように、入れ歯にはバネがいくつもあります。
バネの近くには、当然のことながら、歯のない部分が存在します。
歯のない部分の上部には、硬い入れ歯が歯茎の上に乗っており、咬むと歯茎の厚味の分沈み込みます。
すなわち、入れ歯は咬むたびに少しだけ動きながら、その役割を果たすことになります。
一方、その動きが最小になるように、入れ歯にはバネがついております。
すなわち、バネがしっかりと歯に固定されている状態で、咬むたびに、自分でカタカタ動かしている状態ということになります。
私は入れ歯のバネを見る度に、あるものを連想してしまうのですが、何かに似てはいませんか?
ヒントは、どこのご家庭にもあり、飲み物を飲むときに使用する道具です。
そうです!
栓抜きです!!!
入れ歯のバネには、栓抜き効果があるので、入れ歯を入れると、バネを掛けた歯からなくなっていくのです。
そのため、入れ歯を使用し始めると、少しずつ入れ歯は大きくなっていくのです。
少し当たり前のことですが、残っている歯の犠牲の上に成り立つ、この入れ歯という治療方針自体に問題があるのです。
インプラントは私に何をしてくれるの?
入れ歯を使用されている方は、当然のことながら、健康な時と比較すると残っている歯の数は少なくなっています。
一方、咬合力、すなわち咬む力は、健康だった20代と歯を失った現在とで、実は大きな変化はありません。
たとえば、20代の健康な頃の歯の数を28本、現在は14本としましょう。
28本でも14本でも同じ量の力が上下の歯にかかるとすれば、一本当たりの歯が受け止める力は現在の方が圧倒的に大きくなっています。