2011年10月アーカイブ

歯磨きが完璧でも歯がなくなる理由

親知らずが虫歯になっていないのに、その前の歯に大きなトラブルが出ている方が少なくありません。

普通に考えても、前歯よりも奥歯の方が歯磨きが難しいので、虫歯になりやすいような気がしませんか?

しかし実際には、必ずしも奥歯の方が虫歯が多いとは限りません。

堀歯科医院に来院される患者さまのお口の状態、咬み合わせを診査していると、その方の咬み合わせの中でもっとも咬める歯におけるトラブルが大きいことがわかります。

(前後の歯は無傷であるというのに、その歯だけが、神経を除去された状態で銀歯がかぶさっていたり、何度も差し歯が外れてきた経緯があって、その根の先には病気があったり、歯根が破折していたりする状況に、毎日のように遭遇します。)

虫歯の発生メカニズムが単純にそこに虫歯の原因菌が付着し、虫歯が進行する場合だけでなく、過剰な咬合力で歯に亀裂が入り、その溝に沿って虫歯が進行するケースが、ここ最近急激に増加してきているような気がしてなりません。

もし、そのような虫歯発生メカニズムの頻度が高いならば、まずは歯並びを整えて、特定の歯に咬合力が集中しないようにすること、さらに、可能ならば、過剰な咬合力がかからないようにすることが重要です。

そしてさらに加えるならば、歯列矯正治療を受ける際に、単に歯並びだけでなく咬合平面の傾きも考慮した歯列矯正を受けることです。

それにより、いわゆるミューチュアリー・プロテクティド・オクルージョンを獲得することです。

一見、歯並びが良くても、このミューチュアリー・プロテクティド・オクルージョンの概念から離れた咬み合わせをしている方は、歯磨きが完璧でも歯がどんどんなくなります。

※ミューチュアリー・プロテクティド・オクルージョンとは、前歯と臼歯とで、お互いに相手を守りながら存続する咬み合わせを意味し、垂直的な咬合力は可能な限り、臼歯部で受け止め、水平的な咬合力は可能な限り、前歯部で受け止める咬み合わせを指すます。

2011年10月28日

hori (00:00)

カテゴリ:インプラントについて

奥歯をないままにしている、60代の女性の方へ

上下の大臼歯同士で、1本も咬む所がないという方が来院されました。

以前、他の歯科医院で部分入れ歯は作っていただいたとのことでしたが、入れ歯が動き、痛みもあるということで、使用せずそのままになっていたそうです。

この方は元々の咬合力も強く、残存している歯牙がすべて外側に傾いて、いわゆる出っ歯の状態となっていました。

そして咬合力の大部分がかかる小臼歯部に痛みを感じてのご来院でした。

この痛みのある小臼歯部に症状を取る処置を行いましたが、その処置を行うと、低下している咬み合わせの高さが一層低下します。

(この処置は、咬合力が治療している歯に伝わると、痛みが出るので、治療中は反対側の歯と接触しないようにするのです。)

そうなると前方に傾いている前歯が今以上に傾きます。

また仮に心機一転、入れ歯を使用することにしたとしても、咬み合わせの高さが低下しているために、入れ歯の厚みが薄く割れてくることでしょう。

やはり、この方の咬み合わせの崩壊をまた一歩進めないようにするには、インプラントしかありません。

インプラントで、垂直的な高さが維持できれば、前方歯の負担が軽減されますから、前方への傾斜の程度も抑えられ、小臼歯に痛みが出ることもなくなることでしょう。

成人になり、口元が突出感を感じている方のほとんどは、臼歯の数が減少しています。

前歯をきちんとした状態にしたいという希望の方は少なくないですが、前歯の状態を維持するためにも、大臼歯の治療をおろそかにするべきではありません。

前歯と臼歯ではそれぞれが異なる役割を担っており、片方だけが存在して、良い状態が続くことはありえないからです。

2011年10月 8日

hori (16:03)

カテゴリ:インプラントについて

「上顎だけ全く歯がない」という方がなぜいるのか。

上顎の歯は全部というくらいたくさんあるのに、下顎には全く歯がない方がいます。

歯磨きの上手下手だけで、歯の残る・残らないが決定されているのであれば、下顎は歯磨きが上手で、上顎は歯磨きが苦手ということが実際にありえるのでしょうか?

少なくとも、私はそのようには考えていません。

歯の残る・残らないという結果に対して、歯磨きという因子のほかに、咬合力や歯槽骨における歯の位置、歯槽骨の骨密度、歯の硬さなどが関係していると考えています。

通常、上顎は下顎に覆い被さるような位置に存在していますから、歯軋り癖のある方であれば、咬みしめた状態で、上顎の歯は左右に揺さぶられる力がかかると考えられます。

上顎と下顎では、歯槽骨の硬さが上の方が柔らかいので、過剰な咬合力がかかった場合、上顎には歯の周りの歯槽骨が破壊されるような力がかかると考えられます。

一方、下顎は歯槽骨の硬さが硬いので、歯が欠けるような力がかかると考えられます。

面白いもので、それとは反対の上顎の歯は1本もないのに、下顎には全部の歯があるという方がいても良さそうなのですが、私の臨床経験の範囲では、ほとんど目にしたことがありません。

その歯がなぜなくなったのか、なぜなくならなければならなかったのか、仮にそこに歯を用意した際に何が具備すべき条件なのかなどについて考えてみると、そこにインプラント治療をした際に、長期の予後を見込めると考えています。

2011年10月 1日

hori (16:05)

カテゴリ:インプラントについて

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