2012年4月アーカイブ
インプラントで喪失リスクが1/6に!
入れ歯のばねがかかっている歯は歯科診療の現場では、結構な頻度で抜歯にいたっております。
これはばねがかかっている歯は虫歯になりやすく、ばねで揺り動かされるためです。
一方、入れ歯が入っている部分にインプラントを入れた場合、入ればのばねがかかっていた歯に対す
る負担は減少するとともに、清掃性が向上するので、歯の寿命が延びると一般に考えられてきました。
ところが、その程度がどのくらいなのかはについては不明でした。
今回、入れ歯部分にインプラント治療を受けることにより、ばねがかかる歯の喪失リスクを1/6にすることができていることが明らかになりました。
(2010 KIRG)
保険適応のインプラント?!
・インプラント治療の分野においても、2012年4月から保険適応が一部の症例に認められました。
ただ、インプラントに保険が適用されるといっても、その症例はごく限られたものです。
具体的には、がんや骨髄炎で顎や顔面の骨が失われ、歯もなくなってしまった患者さん、あるいはもともと歯が形成されず、そのため顎の骨が萎縮してしまっている、外胚葉異形成症という先天的な異常を抱えている患者さんが、保険制度の対象となっています。
すなわち、虫歯や歯周病で歯を失った患者さんがインプラント治療を受ける場合は、その対象にはならないということです。
インプラントの不成功原因はプラークかオーバーロードか?
lsiderはサルを用いて実験し、インプラントにオーバーロードを与えたとプラーク形成を促進するために歯周ポケット内に縫合糸を置いた群を比較した場合、オーバーロード群では8本中5本のインプラントが喪失したのに対し、縫合糸群では喪失が認められなかったことを報告している。
また、Miyataらは、サルを用いて咬合面を100μm、180μm、250μmと高くして早期接触を与えた後にインプラントを評価した。
180μm高くしたクラウンでは、顕著なV字骨吸収が認められ、250μm群では、コントロールより2?3倍多い骨吸収が認められた。
100μm群の歯周ポケットに内に縫合糸を挿入した際、骨吸収は180μm群に類似していたとしている。
これらから咬合のオーバーロードがインプラントの不成功に繋がることを示唆している。
(参考文献)
lsider F. Loss of osseointegration caused by occlusal load of oralimplants. A clinical and radiographic study in monkeys. Clin Oral Imprants Res. 1996;7(2):143-152
Miyata T, et al. The influence of controlled occlusal overload on peri-implant tissue. Parts3:A histologic study in monkeys. Int J Oral Maxillofac Imprants. 2000;15(3):425-431