2013年1月アーカイブ
インプラントのリスク 義歯のリスク
遊離端欠損症例ではインプラント義歯を観察して比較した報告(森野ら 2006)では、インプラントの対合歯の抜歯に至った歯は2.65%(10/378)、インプラント隣接歯で抜歯に至った歯は3.76%(5/133)であったが、義歯の隣接歯で抜歯に至った歯は26.0%(38/133)であり、義歯の"ばね"がかけてある隣接歯の喪失歯は明らかに高い。
義歯とインプラントでは経過中にいわゆるツケの回りどころが異なる。
それゆえ、一概にインプラント補綴がすべてよいとはいえないが、対合歯に配慮していくことができれば長期安定を望める可能性が高い。
(参考文献)
森野茂,他. インプラントが残存歯に与える影響 第2報 遊離端欠損部隣接歯,対合歯に関する臨床的検討. In : 日本口腔インプラント学会 第23回九州支部学術大会抄録集,2006 : 51.
連結インプラントの強度は上がるのか?
2本連結のインプラントの破折はすべて頬舌方向の破壊で、近遠心方向の破壊は一例もなかった。
2本を連結する効果は、近遠心方向の曲げ強度はおよそ4倍になるが頬舌方向の曲げ強度はほとんど変わらないので、頬舌方向の破折のみが観察されたものと推定できる。
インプラントの2本連結は応力の分散を期待して行われるが、今回の破折症例からみて連結は破折の防止ないし減少には必ずしも有効ではなく、別の手当てを考慮する必要があろう。