2013年8月アーカイブ

1回装着したアバットメントは外すべきではない。

(論文抄録)
アバットメント材料と着脱が、プラットフォームスイッチングインプラントにおける硬・軟組織の変化に与える影響を調査した。

3匹のイヌの上顎に、チタンインプラントを12本埋入した。

無作為の部位で2回の着脱(2週目と6週目)を繰り返した箇所をテスト側として、残りの着脱しない側をコントロールとした。

8週目で組織形態学的調査を行った結果は、頻繁な脱着はインプラント周囲硬・軟組織を変化させる可能性があると示唆された。

(コメント)
プラットフォームスイッチングにおけるアバットメントの最新論文の硬・軟組織における比較論文である。

この論文から2回でのプラットフォームスイッチングには有意差が認められなかった。

しかし、それを超える頻回な操作はジルコニアアバットメントであれ、チタンアバットメントであれ、周囲硬・軟組織に影響を及ぼすとの文献である。

1回装着したアバットメントは可能であれば外すべきではないと考える。

(参考文献)
Becker K, Mihatovic I, Golubovic V, Schwarz F. Impact of abutment material and dis-/re-connection on soft and hard tissue changes at implants with platform-switching. J Clin Periodontol 2012; 39(8):774-780.

2013年8月22日

hori (16:27)

カテゴリ:インプラントについて

インプラントが上顎洞へ迷入するメカニズム

インプラントが上顎洞へ迷入するメカニズムに関しては以下のような仮説が報告されている。

1)上顎洞、鼻腔内圧の変化
呼吸により生じた鼻腔内および上顎洞内の陰圧により、インプラントが上顎洞内に吸引される。

2)インプラントに対する自己免疫反応
インプラント体周囲の感染、異物反応によりインプラント体が上顎洞へ迷入される。

3)不適切な咬合力
インプラントの補綴修復物により形成される不適切な咬合力により、インプラント体が上顎洞へ迷入される。

すなわち過重負荷によりインプラント体の初期固定が失われ、インプラント体が上顎洞へ迷入される。

1.インプラント体の埋入中にインプラントが上顎洞へ迷入する症例
たとえ上顎洞底拳上術を行っても上顎臼歯部の骨質が柔らかく上顎洞までの距離が短い場合に、インプラントを脆弱な骨質に埋入する手術操作により、インプラント体が上顎洞へ迷入してしまうと考えるのが妥当であろう。

2.インプラント体の埋入後に経時的変化を経てインプラントが上顎洞に迷入する症例
上顎臼歯部の骨質の状態が不良であり、さらに感染が加わると、オッセオインテクレーションが不良なインプラント体に対して、異物反応が作用したり、咬合圧が加わることにより、インプラント体が上顎洞に埋入してしまうと考えるのが妥当であろう。

(インプラントジャーナル 2013年54号)

2013年8月10日

hori (08:36)

カテゴリ:インプラントについて

オステオトームテクニックの成功率は既存骨の高さがカギ!

Del Fabbroらの報告によると、オステオトームテクニックに移植材を併用した場合、移植材の有無やインプラントの長さはインプラントの生存率に影響を及ぼさないが、既存骨の高さが有意に成功率に影響した(5?以下:92.7%、5?以上:96.9%)と述べている。

(参考文献)
Del Fabbro M, Corbela S, Weinstein T, Ceresoli V, Taschieri S. Implant survival rates after osteotome-mediated maxillary sinus augmentation : a systematic review. Clin Implant Dent Relat Res. 2012;14:159-168.


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移植材の有無あるいは種類は何が良いのかなどについては、これまで散々議論に議論が繰り返されてきましたが、結局、材料はそれほど生存率に影響を及ぼさず、既存骨の高さが有意に成功率に影響したとの研究報告です。

私たち歯科医師もメーカー側に踊らされていたということですかね。

2013年8月 1日

hori (15:18)

カテゴリ:インプラントについて

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