2013年9月アーカイブ

喫煙による歯周病のリスクは、非喫煙者の約8倍!

喫煙による歯周病のリスクは、非喫煙者の約2-8倍といわれています。
全米での大規模な疫学調査(NHANES )においてリスクは約4倍とされていて、一日の喫煙本数が増えればリスクもそれに応じて増加しています。
この研究で、歯周病に罹患している患者さんの42%が現在の喫煙習慣に、11%が過去の喫煙習慣に起因すると報告されています。
また、11年以上禁煙を続けると、リスクは非喫煙者とほぼ同じ程度になるとされています。
(参考文献)
Tomar SL, Asma S : Smoking-attributable periodontitis in the United States : findings from NHANES. National Health and Nutrition Examination Survey. J Periodontol 71 (5) : 743-751,2000.
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この文献は、喫煙による歯周病のリスクは、非喫煙者の約2-8倍という内容のものです。
インプラントは、天然歯と比較して、その周囲の血流が不足しているために、一度炎症が起きると、深部まで波及する傾向があるといわれています。
そのような状況で、喫煙によって、ニコチンの血管収縮作用がインプラント周囲の血流をより乏しいものとするならば、インプラントの安定性に悪影響を及ぼすことになります。
私は喫煙習慣が現在も過去もありませんが、個人的には、喫煙にはストレス解消の意味合いもあるかと考えています。
是非、インプラント治療で奥歯でしっかりと咬める状態を構築して、喫煙をしなくてもストレスを感じない状態に生活習慣をシフトさせていただきたいと考えております。
ちなみに、他の文献からの引用ですが、Roos-Jansakerら(2006)は、208人のインプラント治療患者を9-14年間追跡調査し、インプラント周囲炎の発生について報告しています。
本論文ではインプラント周囲炎と様々な因子との関連性が示されていますが、喫煙者の罹患率は非喫煙者よりも7.7倍高いとされました。
やはり歯周治療と同様に、インプラント治療においても喫煙はリスクファクターとしてはっきり認識しておく必要があります。

2013年9月22日

hori (19:30)

カテゴリ:インプラントについて

糖尿病の有無による歯周治療後の治癒に相違はみられるのか?

糖尿病罹患の有無によって歯周治療後の治癒・維持に違いがみられるか?

(要説)
糖尿病に罹患している中等度から重度の歯周炎が認められる患者20人をテスト群、テスト群と同程度の歯周病に罹患しているが糖尿病ではない患者20人をコントロール群とし、全員に徹底的な非外科処置を行った。

処置後3か月をベースラインとして、ベースラインから6か月後のリコールで、BoP+、PPD>5ミリの部位には歯周外科処置が行われ、その後もメインテナンスが行われた。

ベースラインから5年にわたる残存歯数、P?I、GI、PPD、CALの各指標の観察と比較を行ったところ、両群の間に有意差は認められず、糖尿病が罹患した歯周病患者といえども、適切な管理が行われていれば、少なくても5年間は糖尿病に罹患していない患者と同等に歯周組織の健康を維持できることが示された。

(コメント)
糖尿病がよくコントロールされ、長期的にも全身状態に変化がみられなければ、正確なプロトコルに基づく歯周治療を施すことで、非糖尿病患者と同様の結果を得ることができる。

全身疾患を有する患者には、特にSPTが重要だといえる。

(参考文献)
Westfelt E, Rylande H, Blohme G et al : The effect of periodontal therapy in diabetics. Results after 5 years. J Clin Periodontol 23 (2) : 92-100,1996.

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この文献は、糖尿病の有無と歯周治療の効果による相違に関するもので、5年という経過観察においては、統計学的有意差は認められなかったという結果が得られています。

一方、糖尿病の有無とインプラント周囲炎のなりやすさについては、統計学的有意差が認められるという報告があります。

今後、どのような条件が追加されれば、糖尿病患者においてもインプラント周囲炎が起きにくくすることができるかが分かれば、今後のインプラント治療は、より安心感のあるものへ変化することでしょう。

2013年9月10日

hori (10:31)

カテゴリ:インプラントについて

歯肉退縮の生じる頻度

Serinoらはプラークコントロールが良好な255名を12年間観察した調査結果を報告している。

それによると、Baseline時に歯肉退縮がなかった歯では、12年後に歯肉退縮が進行した歯はその33%であったのに対して、Baseline時に歯肉退縮があった歯では、12年後に歯肉退縮が進行した歯はその87%にも達していたことが示されている。

つまり、歯肉が退縮している部位では、将来さらに歯肉が退縮する可能性が高いということである。

(参考文献)
Serino G, Wennstrom JL, Lindhe J, Eneroth L. The prevalence and distribution of gingival recession in subjects with a high standard of oral hygiene. J Clin Periodontol 1994 ; 21(1) : 57-63.

2013年9月 5日

hori (16:48)

カテゴリ:インプラントについて

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