2014年5月アーカイブ

スクリューリテインのインプラントは、セラミックの破折が多い。

Al-Omariらはインプラント上部構造におけるセラミック咬合面の破折抵抗の実験調査では、アクセスホールがないセラミック咬合面が、一番破折に対して抵抗があったと報告している。
これはセラミックが焼成後収縮していく過程で、アクセスホールがセラミック構造を不均一にすることが原因であるとしている。
(参考文献)
Al-Omari WM, Shadid R, Abu-Nabaa L, El Masoud B, Porcelain fracture resistance of screw-retained, cement-retained, and screw-cement-retained implant-supported metal ceramic posterior crowns. J Prosthodont 2010 ; 19: 263-73.
Zarone F, Sorrentino R, Traini T, Di lorio D, Caputi S. Fracture resistance of implant-supported screw-versus cement-retained porcelain fused to metal single crowns : SEM fractographic analysis. Dent Mater 2007 ; 23 : 296-301.
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スクリューリテインは、咬み合わせの面にアクセスホールがあり、通常そこにはプラスティックで蓋をします。
アクセスホール直上のプラスティックとその周囲のセラミックスとは、硬さが全く異なるので、プラスティック部分が選択的に咬耗します。
咬耗すると、アクセスホールの角張った部分のセラミックスが破折しやすくなるのです。
また、今回紹介した文献で、セラミックスの焼成後、アクセスホールがセラミックスを脆弱なものとすることも学びました。
スクリューリテインもセメントリテインも一長一短ですね。

2014年5月30日

hori (15:16)

カテゴリ:インプラントについて

ブリッジは、単冠よりもその後神経を失う傾向がある。

・BergenholtzとNymanは、歯周病症例で歯周治療と補綴治療を完了した後に、単冠とブリッジの支台歯が失活してしまった比率を52名の患者について4年から13年の追跡調査を実施し、ブリッジの支台歯は、単冠の支台歯よりも失活しやすい(ブリッジで15%、単冠で3%が失活した)ことをつきとめ、その後の歯内療法の結果として根尖病巣と歯根破折による失敗が多くを占めるようになったことを報告している。
(参考文献)
Bergenholtz G,Nyman S. Endodontic comlications following periodontal and prosthetic treatment of patients with advanced periodontal disease. J Periodontol 1984; 55:63-68.
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通常の単冠と比較した場合、ブリッジ治療では、治療受けた歯の根の治療が、必要にことが多いというエビデンスです。
一度行った治療が長持ちするためにも、ブリッジではなく、インプラント治療の方が適当であるということになりますね。

2014年5月25日

hori (09:00)

カテゴリ:インプラントについて

BP製剤経口投与患者は、インプラント絶対的禁忌症ではない。

BP製剤経口投与患者については、術前・術中・術後において口腔内清掃が徹底できる症例であれば、インプラント治療は相対的禁忌症として扱う。
また、BP製剤とは別だが、乳がん、前立腺がん、多発性骨髄腫は、顎骨壊死を起こしやすい3大疾患であるため、インプラント治療は避けるべき(絶対的禁忌症)との勧告も出ている。(日本歯科骨粗鬆症研究会 2012年3月18日、第10回学術大会 日本歯科評論 5月号 p165)
(インプラント治療の根拠とその実践 より)

2014年5月15日

hori (15:48)

カテゴリ:インプラントについて

根分岐部病変の予後は最大5年。

・HirchfeldとWassermanは、平均22年間でメインテナンス中に、単根歯の喪失率は4.9%であったのに対して、根分岐病変をもつ腹根歯は31.4%であったことを報告している。
McFallでも同様の傾向がみられ、100名の患者を15-29年にわたってメインテナンスを行ったところ、単根歯の喪失率が7%であったのに対して、根分岐部病変をもつ複根歯では57%に達している。
これら文献では、複根歯の予後が単根歯と比べていかに悪いかが、端的に示されている。
根分岐部病変は、アタッチメントロスの程度以上に複根歯の予後を左右し、大変重大な解剖学的リスクであることを示している。
では、こうした比較的不良な予後が与えられた歯が実際にどのような経過をたどるのか。
それはきわめて予測が困難である。
McGuireらによれば、「poor」「questionable」と判定された歯は予後が変動しており、「poor」のままだったものは一つもなかったとしている。
また、「hopeless」と判定された歯については、5年後の時点で52.3%は「hopeless」のままであった。
そして喪失した歯の平均経過観察期間は「hopeless」を除いたカテゴリーで5‐6.61年であり、「hopeless」の歯は2.68年であったと報告している。
つまり、比較的不良な予後が与えられた歯のうち、抜歯となったものの多くが5-6年の経過を待たずに失われる。
このため、予後を5年までと設定することが論理的であり、この時点で予後をもう一度判定し直す必要があると考えられる。
(参考文献)
Hirchfeld L, Wasserman B. A long-term survey of tooth loss in 600 treated periodontal patients. J Periodontol 1978; 49:225-237.
McFall WT Jr. Tooth loss in 100 treated patients with periodontal disese. A long-term study. J Periodontol 1982; 53:539-549.
McGuire MK, Nunn ME. Prognosis versus actual outcome. ?.The effectiveness of clinical parameters in developing an accurate prognosis. J Periodontol 1996; 67:658-665.

2014年5月10日

hori (08:39)

カテゴリ:インプラントについて

開口時に舌が大きく後退位をとる症例

舌は下顎義歯の設計や安定性に影響を及ぼすと考えられ、舌の大きさや開口時の舌のポジションを視診にて観察する必要があり、阿部は開口時に舌が大きく後退位をとる症例では、舌側の辺縁封鎖が難しくなり、その義歯形態は正常なものとはかなり違った形態となるとしている。

(クインテッセンス 2014年 2月号)
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舌は下顎骨に筋肉でつながっているため、舌が後退位をとる方は、下顎骨も後退しています。
(その多くは、下顎が小さい方が多いです。)
下顎骨が後退位にある方は、口を大きく開いてもらっても、上下の歯の間のスペースは術者には小さく感じられます。
すなわち、下顎骨が後退位にある人は、インプラント治療に限らず、どの歯科治療も相対的に術者がやりにくいのです。
(術者がやりにくいと感じる歯の治療は、治療成績も相対的に低下することになります。)
例えば、私が患者さんの6番目の歯の治療をしているのに、親不知の治療をしているような感覚になる方がいます。
そのような患者さんは、決まって下顎骨が小さく、咬み合わせの平面が急峻です。
(呼吸に問題を抱えていることも多く、口呼吸をしていて、歯ぎしり・食いしばりの程度も大きいです。
のどに水を溜めていることができず、よくむせるという方もいます。)
骨格的な問題を抱えている方は、そうではない方と比べて、やはり歯がなくなるスピードが早いです。
そのような方こそ、歯が十分ある場合は、歯列矯正を中心にした咬合再構成、機能できる歯が少なければ、インプラントによる咬合再構成が必要になります。

2014年5月 5日

hori (10:42)

カテゴリ:インプラントについて

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