2016年5月アーカイブ

義歯が痛くて使えていない方は、外側翼突筋は萎縮しているかもしれない。

・外側翼突筋は義歯を装着している場合、垂直的な咬合を行うことが多く、顎を左右に引き出すなどの複雑な動作に慣れていない。
上下に固定性の即時荷重インプラントの上部構造が装着されている場合、硬い食物を摂取するとき、顎は左右に動作することが多くなる。
このとき、顎関節だけでなく、頬骨周辺にも関連痛が広がることがある。
顎二腹筋は喉の部分、下顎の切歯部分などの痛みが出ることがある。
咬筋、側頭筋の筋力の筋力がつくと痛みは軽減することが多い。
ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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『入れ歯が痛くてつらい。』という主訴で、インプラント治療を希望される方の咀嚼様式は、チョッピングタイプ(垂直咬合)からグラインドタイプ(左右に広がる複雑な咬合)に変化するものと考えられます。
咬めない状態が長期間続くと、咀嚼筋や表情筋が萎縮するので、急にインプラントで咬めるようになると、筋肉痛のような痛みを生じる場合があります。
当然のことながら、筋肉が正常に発達するようになれば、そのような痛みは消失することが多いわけです。

2016年5月30日

hori (16:07)

カテゴリ:インプラントと若返り

光機能化インプラントは表面に付着する細菌が1/15.

・光機能化されたチタン表面には初期の細菌の付着が1/10-1/4になることが山田らのグループ、ならびにUCLAの歯周病学講座・細菌学講座の研究で明らかになった。
チタン表面は比較的スムースなマシーン表面でも酸処理などのマイクロラフ表面でもよく、表面性状にこだわらず抗菌効果が得られ、さらに7日後においても細菌およびバイオフィルムの量が1/15-1/7に抑えられていた。
(歯界展望 2016年 3月号)
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当院でも使用している"光機能化"インプラントについての新しい報告がありました。
インプラントの表面のチタンの表面性状に関わらず、光機能化したインプラントは、光機能化されていないインプラントよりも、付着する細菌やバイオフィルムの量が最大で15倍少ないことが明らかになりました。
これが本当であれば、インプラントが完全に歯槽骨の中に入っているわけではない抜歯即時インプラントと光機能化は相性が良いのではないでしょうか。
抜歯即時インプラントでは、抜歯窩に対して、口蓋側低位埋入をします。
抜歯窩の頬側側とインプラント間の間隙には骨補填材を入れて縫合します。
教科書的には骨補填材は血餅と一体になっていることにはなるのですが、歯槽骨には入っていないインプラント部分にはやはり細菌やバイオフィルムの付着リスクが低い"光機能化"されたインプラントの方が無難であると考えています。

2016年5月25日

hori (16:01)

カテゴリ:光機能化インプラント

インプラントでの咀嚼訓練により表情筋も正常な状態になる。

・咀嚼筋、舌骨上筋により下顎運動が行われ、歯により食物は粉砕される。
しかし、このままでは食物が頬側(口腔前庭側)、舌側(固有口腔側)に落ちてしまう。
そこで、舌と頬粘膜が食物をうまく歯列にのせて咀嚼していく。
この頬粘膜を動かしているのが、表情筋でも頬筋となる。
ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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奥歯はすでに喪失し、前歯はフレアアウトした状態でようやく重い腰を上げ、インプラント治療を希望されて来院される方がいます。
そのような患者さんの治療では、インプラントが骨結合し、プロビジョナル(仮歯)で咀嚼訓練ができる時期になると、"表情のある良いお顔"に変化してくることが、歯科臨床では多く見受けられます。
これは、咀嚼訓練をするにあたって、舌筋、口輪筋、頬筋などの口腔周囲筋の協調運動訓練も同時に行っていることになるからと考えられます。
すなわち、外側は口輪筋や頬筋で歯列に寄り添い、内側は舌筋で歯列に寄り添うような運動を協調して行うことができて初めて、上下の歯列の上で食べ物を上手に咀嚼することができるのだと思います。
またその後、口蓋に舌を押し付けて陰圧を作りだし、咀嚼した食物を咽頭へ移送することも、私たちは日常的に行っています。
(これを嚥下といいます。)
これには、舌骨上筋群の協調運動も関わってくるものと考えられます。
咀嚼や嚥下を通して、表情を司る表情筋や顎周りの舌骨上筋群が正常な働きをすることによって、結果的に二重顎が解消した若々しい印象の持ち主に変化するのだと考えられます。
また、インプラントを介して奥で咬めるようになってくると、咬み合わせの中心が後方に変化するために、身体の姿勢も正しい状態になることも、若い印象には関係していると思います。

2016年5月20日

hori (15:01)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

光機能化インプラントで即時負荷が可能となる症例が増えるか?

・光機能化されていない通常のインプラントでは、インプラントの安定性が埋入直後より一時的に低下する傾向にありましたが、光機能化されたインプラントでは、細胞の発育が早いために、インプラントの安定性が低下しないとする報告もあります。
(参考文献)
Suzuki S, Kobayashi H, Ogawa T, Implant stability change and osseo-integration spped of immediately loaded photofunctionalized implants. Implant Dent 2013 ; 22(5) : 481-490.
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当院でも光機能化インプラントを使用していますが、やはり骨結合までの期間は通常のインプラントより確実に短縮できています。
ただ、インプラントの安定性が一時的に低下するかどうかについてはもう少し様子をみようと考えています。
これについては、既存骨に埋入したケース、抜歯即時インプラントを行ったケース、GBR併用のケースなどとインプラントを埋入した状況により、分けて考える必要があるとも考えています。
インプラントの安定性が一時的に低下するか・しないかによるメリットは、埋入直後に即時に負荷をかけても大丈夫かどうかくらいの違いしかありません。
10年、20年使用することを期待して行うインプラント治療に対して、数週間早く咬めるというメリットをどう考えるのかということです。
確実な選択をしたいものです。

2016年5月15日

hori (21:00)

カテゴリ:抜歯即時インプラント

ヒーリングチャンバータイプのスレッドデザインで、インプラントの初期固定度が上昇。

・一般に、埋入トルク値とインプラント初期固定の間には相関関係があるとされ、埋入トルク値が高ければ初期固定を獲得できると考えられている。
この広く浸透している理論は、インプラントデザインというファクターを除外して考えられたもので、ブローネマルクシステムに代表されるプレスフィットタイプを元に構築された。
・IrinakisとWiebeは、140本のノーベルアクティブインプラント(プレスフィットタイプ)を87名の患者に高トルク埋入した。
このタイプのインプラントは、そのマクロ形状(スレッドデザインおよびバルク形状)から高埋入トルクの発生が報告されているが、彼らの報告でも平均埋入トルク値は50.8Nと非常に高いものであった。
それにもかかわらず、平均13か月後の失敗率はわずか2.1%であり、一般に報告されている失敗率や成功率と差異はなかった。
・Freitasらは、Jimboらもインプラントデザインによっては、埋入トルクが減少しても、インプラント初期固定が低下しないことを示唆し、インプラントデザインファクターの重要性を論述している。
これらの一連の報告はインプラントシステムによって、高埋入トルク=高初期固定ではないことを証明しており、埋入トルク値だけではインプラントの固定度を測れないことを示している。
・implant dipを回避できるスレッドデザインは、初期固定を確実に獲得でき、かつ直接新生骨の添加が可能なものであろう。
すなわち、インプラントー既存骨界面の歪みの発生を抑制できるスレッドデザインが必要であり、ヒーリングチャンバータイプが最適であると言える。
ヒーリングチャンバータイプのインプラントを埋入すると、既存骨との強固な固定をスレッド先端で獲得しつつ、インプラントー既存骨の接触面積の減少が可能で、全体の歪み量の低下に寄与する。
さらに、Berglundhらはスレッドー既存骨間に血餅が貯留することで、インプラント表面への新生骨添加が促進されることを報告している。
このようなスレッドタイプでは埋入トルク値が高ければ初期固定がとれるというプレスフィットタイプで用いた公式に当てはまらない。
そして血餅が充満したチャンバー内は骨吸収を経ることなく、新生骨が添加され、歪みによる海面周囲骨吸収の回避が確認される。
デンタルダイヤモンド 2016年 3月号 )
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当院でもインプラント埋入手術の際には、各インプラントの埋入トルクを記録しています。
一般には埋入トルクが高い方が早く次のステップに入れることが多いですが、例外があります。
骨質が硬すぎるケースです。
骨質が硬すぎると、オーバーヒートが発生し、骨火傷を惹起します。
インプラント埋入手術後に鈍い痛みが続くケースは骨火傷が疑われます。
今回、ノーベルアクティヴ インプラントの失敗率2.1%というのは、硬すぎる骨質に対して、高トルクでインプラントを埋入してしまったことによると考えられます。
このような場合、インプラントホールの径を若干大きめにするか、アンダーサイジングドリルの程度が小さいインプラントシステムを用いるべきだったと思います。
以前、UV照射による光機能化をインプラントに対して行うと、implant stability dipを回避できるという話題がありましたが、それ以外にもスレッドデザインをヒーリングチャンバータイプにするという方法もあることが今回の記事で分かりました。
なお、ヒーリングチャンバータイプは、チャンバー内に歪みは生じないために埋入トルク値は低くなるが、初期固定はスレッド先端部で獲得されるとのことです。

2016年5月10日

hori (16:16)

カテゴリ:インプラントについて

70歳以上の糖尿病予備軍は35%。

・糖尿病患者の歯周治療マニュアルには、随時血糖値が200ミリグラム/dL以上の場合は間欠的処置は避けるべきと明記されている。
・70歳以上の「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性が否定できない人」の割合をみると、男性で「強く疑われる人」つまり予備軍が22.6%、「可能性が否定できない人」つまり予備軍が18.4%。
女性では「強く疑われる人」が11%、「可能性が否定できない人」つまり予備軍が23.8%という数値が出ている。
まさに、約35%の高齢者が糖尿病についての何らかの因子を持っていることになるのだ。
しかも、この数値は2007年のものであり、97年からの推移においても増加傾向にあるため、現在においてはさらなる割合の増加が予想されることは間違いない。
ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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近年糖尿病予備軍の方は増加傾向にあり、その割合は35%を超えるようです。
糖尿病の方にインプラント治療をするリスクは、麻酔が効きにくかったり、感染が生じやすく傷が治りにくいために、インプラントが失敗する可能性があることです。
けれども、軽度の糖尿病の方のインプラント治療は、当院では特に問題は生じていません。
ただ、GBR併用のインプラントや即時負荷インプラントは、リスクが高いと考えています。

2016年5月 5日

hori (14:40)

カテゴリ:インプラントと糖尿病

歯周病のリスク因子

・IL-1の多型と喫煙習慣については、5年から14年のメンテナンス患者の経過を追跡した研究がある。
この研究からIL-1多型の陽性患者(陰性の2.7倍)、喫煙者(非喫煙者の2.9倍)で顕著に歯の喪失が見られ、さらにIL-1多型の陽性で喫煙者の場合はさらに歯の喪失の危険性が高かった(IL-1陰性非喫煙者の7.7倍)。
また、体重増加(BMI)については、体重増加と歯周病の発症および進行に相関関係があることが報告されつつある。
サルを用いた動物実験でもカロリー摂取を控えた実験群では、通常のサルに比べ、アタッチメントロスと出血が少ない傾向にあったという報告がある。
ヒトを対象にした研究でも、BMIが高い患者は歯周病も4倍の確率で重症化しやすいことが分かっている。
・リウマチのような慢性炎症性疾患では、CRPのレベルが高い傾向にあり、骨代謝に障害をきたしている。
結果としてリウマチ患者の51%、変形性関節炎の患者の26%に重度の歯周炎を認めるという報告もある。
・リスク因子のうち重要性が高いものとして、
〇歯周疾患の既往メンテナンスの不定期性、喫煙、糖尿病、IL-1レベルの高いもの
・重要性が不明確だが関与が疑われるものとして、
〇内臓脂肪、BMIの高いもの、食生活、栄養状態、慢性炎症性疾患、エピジェネティックス(後天的な遺伝形質の発現)
日本臨床歯周病学会学会誌 Vol.30 2012 )
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歯周病のリスク因子を列挙してみました。
リウマチのように原因がまだはっきりわかっていない病気との関連で歯周病になりやすい場合や、遺伝的な要素により歯周病になりやすい場合は確かにあることでしょう。
けれども、禁煙や、歯科医院でのメンテナンスを受診したり、BMIを下げたリスことは、各人の努力次第で歯周病のリスクを低減させることは可能かと思います。
できることから歯周病対策をしていただけたらと思います。
また、インプラント治療後にも糖尿病や喫煙はインプラント周囲炎のリスクとなりうるので、禁煙や血糖値が上がりにくい生活習慣等は引き続きしていただくこととなります。

2016年5月 1日

hori (14:24)

カテゴリ:インプラントと喫煙

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