・副流煙は、実は主流煙より有害物質の濃度が高い?!
副流煙に含まれるタバコの煙の3大有害物質の濃度は、
1. ニコチン 主流煙の約2.8倍
2. タール 主流煙の約3.4倍
3. 一酸化炭素 主流煙の約4.7倍
(nico 2018年3月号 )
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副流煙は体に良くないということは広く知られていますが、副流煙が主流煙の何倍も健康に悪いということはあまり知られていないように思います。
インプラント治療を受ける方で喫煙者は、少なくないように感じます。
喫煙者、特にヘビースモーカーは、インプラントが骨結合するまでの期間が、非喫煙者よりも長いような印象があります。
2018年4月25日
hori (07:58)
カテゴリ:インプラントと喫煙
・研究チームは、治療後2年以内の充填不成功率は、飲酒者で高く、総合的な充填不成功率は喫煙男性で高くなることを見出した。
さらに、歯の中に認められる酵素のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP2)の遺伝子の違いが、充填不成功の増加と関係していた。
そこで研究者らは、MMP2が充填材と歯の表面の間の接着材を分解することができ、これにより不成功に至っているのではないかと仮定した。
しかし研究者らによると、何らかの確定的な結論を得るにはさらなる調査が必要とのことだった。
(DENTAL TRIBUNE 2018 Vol.2 No.1 )
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コンポジット等の充填処置の不成功率が、飲酒者や喫煙男性で高いとのことでした。
飲酒をするとブラキシズムの程度や頻度が増大しますから、飲酒者で充填不成功率が高いのは理解できます。
一方、喫煙男性で充填不成功率が高いことについては、喫煙により歯の中の酵素のMMP2に遺伝子変異が生じているのかもしれません。
また、喫煙女性ではなく喫煙男性で充填不成功率が高いのは、喫煙量が女性よりも男性の方が多いことと関連があると推測されます。
2018年4月20日
hori (08:46)
カテゴリ:インプラントが必要な状態にならないために必要なこと
・ドップラー法による血流測定は、上顎前歯の根管治療の治療結果の評価にも応用されている。
ドップラー法で評価すると治癒を示唆する所見が6週間後に明らかになる症例が大半であり、ドップラー法が口腔内エックス線写真に比べて治癒を早期に判定できることが例証された。
(歯内療法成功のためのコーンビームCT活用術 )
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歯内療法の治癒は、レントゲン的にはある程度の期間が経過しないと判断できないものですが、6週間で治癒を示唆する所見が得られるドップラー法は有効かもしれませんね。
2018年4月15日
hori (00:26)
カテゴリ:インプラントが必要な状態にならないために必要なこと
・トルコ人の上顎中切歯、側切歯の形態をCBCTで解析した研究では、過剰根管の発現頻度を0.3-3.2%としており、さらに、2根管性の上顎犬歯が男性で3%、女性で1%に発現すること、2根管性の上顎切歯の頻度が男性で有意に高いことが述べられている。
(歯内療法成功のためのコーンビームCT活用術 )
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男性は女性よりも顎骨も大きく、歯牙の大きさも大きいことが多いために、有意差をもって男性の方が女性よりも2根管性の切歯の頻度が高いと考えられます。
また、一般に歯の大きさが大きいほど、根管の数が多いです。(切歯<小臼歯<大臼歯)
上顎犬歯は切歯の中では最大の大きさである場合が多いです。
ある程度以上の大きさがある歯牙であれば、太い神経が真ん中に一つ存在するよりも、頬側に一つ、口蓋側にもう一つ存在する方が、痛みセンサーとしての機能はうまく発揮されると考えられます。
近年、アブフラクションによる可逆性歯髄炎で来院される患者さんが少なくないので、太い神経が1つよりは細い神経が2つの方が、過大な咬合力を受けた際にも、反応する閾値が高めに設定されるのではなかろうかと推測しています。
そうして考えると、切歯の2根管性はある意味、"進化"ととらえることができます。
2018年4月10日
hori (08:36)
カテゴリ:インプラントが必要な状態にならないために必要なこと
・Hasselgrenによると、根尖が閉塞している症例において、術前のデンタルエックス線写真で根尖部透過像を認める症例でも62.5%が治癒したと報告されている。
(参考文献)
Hasselgren G: The prognosis for endodontic treatment of obliterated root canals, J Endod, 14: 565-567, 1988.
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根尖部に大きな病変が存在する歯の根管治療を行う場合、何が何でも根尖まで穿通しなければ治癒しないと思い込んでいる人も多いと考えられます。
しかしながら、穿通させることができた場合と比べれば治療成績は下がりますが、適切な根管治療が行われれば、術前のデンタルエックス線写真で根尖部透過像を認める症例でも62.5%が治癒したと報告されています。
根管が高度に石灰化しているようなケースでも、歯内療法を行う価値はあるということになるでしょう。
2018年4月 5日
hori (08:54)
カテゴリ:インプラントが必要な状態にならないために必要なこと
・プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、胃からの胃酸分泌を抑制することで、逆流性食道炎や胃潰瘍のような胃酸に関連した疾患の治療において、胃の酸性度が低下すると、小腸での効果的なカルシウムの取り込みが阻害されることが証明されており、インプラントの高い喪失率との関連性が示唆されている。
カルシウムバランスは骨組織の健康にとって不可欠であるため、カルシウムバランスの不均衡はオッセオインテグレーションにある程度の影響を与えると信じられていることは妥当かもしれない。
・インプラントの失敗率は、PPI使用患者で12%(250本中30本)、PPI非使用患者で4.5%(33.9本中148本)だった(P<0.001)。
・PPI使用患者間ではブラキサーと降圧薬・抗うつ薬・抗血栓薬服用患者が有意に多かった。
性別、インプラントの直径、インプラントの表面性状、インプラントの埋入位置、過去の喫煙歴、骨造成術式、抗菌薬の予防投与、ビスフォスフォネート製剤の服用、免疫抑制薬、ならびにインプラントブランドと種類はPPIの使用の有無にかかわらず同じだった。
・2008年ごろ、PPIを長期にわたり使用すると骨粗鬆症による骨折リスクが増大することが、欧米の大規模臨床研究で報告されてきた。
・PPI服用と骨粗鬆症による骨折リスクを報告した論文では、5年以上PPIを使用すると股関節部骨折リスクが62%増大し、7年以上では4倍以上になることが報告されている。
(参考文献)
Intake of proton pump Inhibitors is associated with an increased risk of dental implant failure. Chrcanovic BR, Kisch J, Albrektsson T, Wennerberg A ; Int J Oral Maxillofac Implants 2017 ; 32(5) : 1097-1102.
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逆流性食道炎や胃潰瘍の治療として、PPIが使用される場合があります。
PPIの使用者に対して、インプラントを行った場合に、非使用者と比較して、その喪失率は有意に高いことが明らかになりました。
また、PPI使用患者間ではブラキサーと降圧薬・抗うつ薬・抗血栓薬服用患者におけるインプラント喪失が有意に多いという結果も得られたようです。
インプラントの治療に関しては、幅広い知識が必要であり、今後も研鑽を続けなくてはならないと感じました。
2018年4月 1日
hori (09:33)
カテゴリ:インプラントと全身の健康