2019年8月アーカイブ
プラーク除去効率は歯磨剤の使用による違いがない。
・歯磨剤を使っても、使わない場合と比べてプラーク除去効率に違いがないと結論づけられています。
(参考文献)
Valkenburg C,Slot DE, Bakker EW,et al. : Does dentifrice use help to remove plaque ? A systematic review. J Clin Periodontol, 43(12) : 1050-1058,2016.
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歯磨きが上手な人は、歯磨剤がなくても結果が変わらないかもしれませんが、個人的には、歯磨剤を使用した方が安心感があると考えています。
インプラントの太さにより、応力の集中する部位が異なる。
・Chemtov-Yonaらは、内部連結のコニカル型インプラントの直径の違いによる破折への影響を検討し、インプラントの太さにより応力が集中する部位が異なり、疲労試験では直径5?のインプラントの破折はすべてアバットメントとの連結部で起こり、アバットメントスクリューの破折を伴っていた。
直径3.75?のインプラントは44.4%がインプラントネック部で破折し、55.5%は第2スレッド部で、48%は第3スレッド部で破折したと記述している。
山口らは大臼歯部の2本連結した外部連結のインプラントの破折例4例7本の破折面を解析し、破折の原因は金属疲労で、全インプラントがアバットメントスクリュー先端相当部で水平に破折していたと記述している。
また、Karlらのインプラントはアバットメントスクリュー先端相当部で水平に破折し、同部はインプラントの壁厚が最小の部位であったと記述している。
(参考文献)
Shemtov-Yona K, Rittel D, Machtei EE, Levin L. Effect of dental implant diameter on fatigue performance. Part? : failure analysis. Clin Implant Dent Relat Res 2014 , 16(2) : 178-184.
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インプラントの太さにより、やはり応力の集中する部位が異なるようです。
インプラントの上部構造のトラブルは、ブラキサーで多く発生。
・Chrcanovicらのもう1編の研究は98名のブラキサーのインプラントでの合併症発生について同数の非ブラキサーと比較し、上部構造の人工歯破折は154対44、ポーセレンの破折は50対4、補綴装置の破折は17対1、スクリューの破折は96対3、スクリューの緩みは54対1、インプラントの破折は16対0と、ブラキサーで有意に高い合併症の発生を示した。
その中でChrcanovicらは多くの論文がブラキシズムとインプラントの失敗を関係を取り上げているが、ブラキシズムの定義が一定でない述べている。
Pormmerらは、48本の破折インプラントで異常咬合習癖の有無を検討し、89.6%はブラキサーで起こったと記述している。
(参考文献)
Chrcanovic BR, Kisch J, Albreksson T, Wennerberg A. Bruxism and dental implant treatment complications : a retrospective comparative study of 98 bruxier patients and a matched group. Clin Oral implants Res 2017 ; 28(7) : e1-e9.
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インプラントの上部構造のトラブルは、やはりブラキサーで多く発生しているようです。
インプラントも50μmまでは動揺する。
・インプラントは骨組織内で最大50μmまで動揺する可能性が報告されている。
各インプラントには最大で50μmのミスフィットが許容されると予想されている。
(参考文献)
Andriessen FS, Rijkens DR, van der Meer WJ, Wismeijer DW. Applicability and accuracy of an intraoral scanner for scanning multiple implants in edentulous mandibles: a pilot study. J. Prosthet Dent 2014; 111(3):186-194.
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これまでインプラントは、動かないものと考えられてきました。
しかしながら、今回報告で最大50μmまで動揺する可能性が示唆されました。
個人的には、インプラントが動揺するというよりは、インプラントを取り囲む骨が代謝の結果、位置を若干変化させるのではなかろうかと考えています。
こうして考えると、オープンコンタクトがインプラント-インプラント間に生じても不思議はないということになります。
歯肉退縮と根面う蝕
・歯周治療の後によく起こる歯肉退縮と根面露出。
根面のセメント質はSRPによって薄くなっているか剥がれているので、象牙質が歯肉縁上バイオフィルムに直接触れます。
エナメル質の臨界pHは5.5ですが、象牙質の臨界pHは6.5です(象牙質は脱灰しやすい)。
バイオフィルムのpHを5.5にするほど強い酸を出せるのはミュータンス連鎖球菌などに限られますが、pHを6.5程度にする弱い酸を出せる細菌種はたくさんいます。
しかも、これらの菌は砂糖がなくても炭水化物があれば酸を出すので、甘いものを食べない中高年でも、ごはんや麺類の糖質で根面う蝕ができます。
根面う蝕の発生はあったという間です。
(歯科衛生士 2019年6月号 )
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メンテナンス等で歯周病が安定した状態を維持できる可能性はありますが、今度は根面う蝕の問題が出てきました。
根面う蝕は歯冠部にできたう蝕とは異なり、う窩と神経の距離が近いために、う蝕が容易に神経に到達します。
またその部分から歯根破折を起こす場合もあるので、インプラントと咬み合う天然歯やインプラントと隣合う天然歯では、状態のよくない天然歯は抜歯する方が良い場合もあります。
サージカルガイドを用いた逆根管治療
・右上5・6にガイドサージェリーを行った症例
CBCT上で大臼歯近心根の上顎洞に近い病変内にガッタパーチャが溢出していた。
サージカルテンプレートの使用により、上顎洞粘膜を先行することなく 溢出物を除去できた。
(参考文献)
Strbac GD, et al. Guided morern endodontic surgery : a novel approach for guided osteotomy and root resection. J Endod. 2017 ; 43(3) : 496-501.
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CBCTデータを基にCAD/CAMで作製されたサージカルテンプレートを使用して、逆根管治療を行った研究報告です。
サージカルガイドといえば、インプラント埋入の際での使用が現在ブームですが、逆根管治療の際にサージカルガイドを使用することもできます。
歯肉剥離後に、トレフィンバーで根尖および周囲組織を一塊に除去し、逆根管治療を行うわけですから、従来法に慣れていない術者にとっては、楽に行うことができます。
しかしながら個人的には、それがなくてもできるものは、基本的にはいらないのでは?と考えています。
この分野に限ったものではありませんが、歯科は周囲の企業に"いいお客さん"にされているような気がしてなりません。