2019年12月アーカイブ
BTAテクニック
・BTAテクニックは、ラミネートべニア、クラウンの補綴治療を行う際に、歯肉切除を行い、補綴装置のマージン形態をオーバーハングの形態とすることで、生物学的に歯肉組織の健康を維持し、歯肉の後戻りや歯肉退縮を防止できる治療法である。
・BTAテクニックの適応症
歯肉縁、歯周炎がなく、歯肉切除直後に、歯肉縁が骨縁から1.5ミリ以上離れ、付着歯肉幅が2.0ミリ以上残ることが前提。
1. ラミネートべニアやクラウンによる補綴に際し、歯肉ラインを根尖方向に移動したい症例。
2. ラミネートベニヤやクラウンで、舌側転位歯を、唇側に出したい症例。
3. 歯根の凹部や根分岐部のプラークコントロールをしやすくしたい症例。
4. 縁下カリエスだが、挺出や歯冠長延長術ができない症例。
(BTAテクニックの臨床 )
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今回、このBTAテクニックというテクニックを初めて知りました。
このテクニックを検証する追加の研究報告に、まずは期待したいと考えています。
歯科治療時のエックス線被爆線量はごく少量である.
・放射線被ばく線量は、デンタルエックス線で0.01mSv程度、デジタルパノラマエックス線で0.01-0.02mSv、歯科用CBCTで0.01-0.1mSv程度とされています。
日本人が1年間に自然に被爆する放射線量は約2.1mSvであることを考慮すると、歯科治療時のエックス線被爆線量はごく少量であるために、必要以上に懸念する必要はないでしょう。
(参考文献)
Okano T, Jaideep S. Radiation dose and protection in dentistry. Jpn Dent Rev 2010 ; 46(2) : 112-121.
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インプラント治療の前後にはCTを撮ることが多いですが、今回の報告にもあるように、被爆線量を懸念する必要はなそうです。
ストレス対処能力が高いと歯周炎リスク低下
・ストレス対処能力が高いと歯周炎リスク低下
岡山大学とIsram Md Monirul大学の研究グループが、ストレス対処能力のある労働者は歯周炎リスクが低くなることを明らかにした。
研究グループは、「職場でのストレスがない労働者」と「ストレスを感じながらも対処能力が低い群」「対処能力が高い群」を比較。
ストレスを感じながらも対処能力が低い群は、ストレスのない群よりも歯周炎のリスクが2.79倍高いと判明。
一方で、ストレスがない群よりもリスクが0.30倍だった。
同研究成果は、スイスの科学雑誌International Journal of Environmental Research and Public Health(9月22日)に掲載されている。
(アポロニア21 2019年12月号 )
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ストレスを感じながらもその対処能力が低い人は、歯周病のリスクが高いことが明らかになりました。
治りにくい歯周病には力の関与が大きいとされており、それにはストレスが関係しているものと考えられます。
50-60歳ではグループファンクションが68%に増加。
・Panekによる研究では、約26%だけが両側犬歯誘導で、実際には20-30歳で41%がグループファンクションで、50-60歳になるとそれが68%に増加すると報告されているが、これはおそらく犬歯の摩耗によるものと考えられる。
(参考文献)
Panek H, Mattews-Brzozowska T, Nowakowska D, Panek B, Bielicki G, Makacewicz S, Mankiewicz M. Dynamic occlusions in natural permanent dentition. Quintessence Int 2008 ; 39(4) : 337-342.
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中高年者で、力の関与による歯のダメージが大きいことと関連しているものと考えられます。
サイナスリフト後に上顎洞炎を発症しやすい症例
・サイナスリフト後に上顎洞炎を発症しやすい症例
1. 洞粘膜肥厚5ミリ以上
2. 自然孔の狭窄をきたしやすい解剖学的構造
・長く細い篩骨漏斗
・複雑で小さな胞がたくさん集まる篩骨胞
・Haller胞(眼窩下壁の骨内部に存在する含気泡の)の存在
3. ポリープ(鼻茸)様病変のないこと
4. 急性または慢性の副鼻腔炎による液面形成または洞全体の不透過像
(クインテッセンス・デンタル・インプラントロジー )
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サイナスリフト後に上顎洞炎を発症しやすい症例には、ある特徴があるようです。