2020年1月アーカイブ

補綴的合併症はこのCHSが15ミリ以上のケースで発生。

・クラウン/インプラントレシオは一般的に1:1と言われているが、それには根拠がなく重要なのは、クラウンの高さなのである。
文献によると、生体力学関連の有害な影響を評価するうえで重要なのは、クラウン/インプラントレシオよりもCrown height space(以下、CHS)である。
補綴的合併症はこのCHSが15ミリ以上のケースで発生したとされている。
de Moraesらはエクスターナルヘクスのコネクションを有した直径3.75ミリ・長さ10ミリのインプラントにCHSが10ミリ、12.5ミリ、15ミリのクラウンをスクリュー固定したそれぞれの骨ブロックを作製し、200Nの軸方向荷重と100Nの斜め(45度)荷重が加えて三次元有限要素法で応力分布を調べている。
その結果、軸方向荷重ではCHSが10ミリから15ミリへと高くなってもほとんど応力の集中は認められなかったが、斜め荷重下ではプラットフォームとインプラントのスレッド、そしてとくにアバットメントスクリューに応力の集中があり、CHSが15ミリのクラウンの応力集中は10ミリクラウンのほぼ2倍に増加した。
この強力な応力集中はアバットメントスクリューの緩みや破損を引き起こし、過負荷による骨組織へのダメージも増加させると結論付けている。
(参考文献)
Nissan J, Ghelfan O, Gross O, Priel I, Gross M, Chaushu G. : The effect of crown/implant ratio and crown height space on stress distribution in unsplinted implant supporting restorations. J Oral Maxillofac Surg. 69(7) : 1934-1939, 2011.
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インプラントといえど、歯冠が長くなるとアバットメントスクリューの緩みや破損を引き起こし、過負荷による骨組織へのダメージも増加させます。
多方面から治療計画を吟味する必要があるように感じます。

2020年1月25日

hori (08:11)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

義歯の清掃を毎日しないと肺炎発症リスクが1.3倍高まる。

東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野による研究では、要介護認定を受けていない高齢者でも誤嚥性肺炎発症のリスクはあるとの考えから、65歳以上の地域在住高齢者7万人1227人を対象に義歯の清掃頻度を過去1年の肺炎発症との関連を調査した。
結果、対象者のうち、過去1年に肺炎を発症したと答えた人は2.3%、義歯を毎日清掃しない人は4.6%だった。
また、義歯を毎日清掃する人の中で過去1年に肺炎を発症した割合は2.3%だったが、毎日清掃しない人では4.3%と肺炎発症のリスクが高くなった。
(アポロニア21 2020年1月号 ) 
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近年、肺炎で死亡する人が増加傾向にあると聞きます。
義歯を毎日清掃することで肺炎リスクを低下させることが可能です。
本人が自分でできない場合には、周囲の人間が代わりに行う必要があると考えられます。

2020年1月20日

hori (08:18)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

側切歯の湾曲は口蓋遠心側に多い。

116人の患者の186本の上顎側切歯のCBCT画像を解析した。
すべての歯に湾曲を認めたが、根尖測1/3における湾曲が他の歯計測1/3に比べて大きかった。
最大の湾曲点は、根尖から0.5ミリと根尖に近い場所であった。
口蓋側への傾斜が87.6%、唇側への傾斜が12.4%、一方、遠心への傾斜が88.2%、近心が11.8%であり、根尖部は遠心-口蓋側に湾曲していることが多かった。
(参考文献)
Park PS, Kim KD, Perinpanayagam H, Lee JK, Chang SH, Kaufman B, Zhu Q, Safavi KE, Kum KY. Three-dimensional analysis of root canal curvature and direction of maxillary lateral incisosrs by using cone-beam computed tomography. J Endod, 39 : 1124-1129, 2013.
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上顎側切歯の湾曲は、口蓋側遠心側に多いことが明らかになりました。
通常、根尖性歯周炎で排膿する場合、歯槽骨の最も薄い部位を破壊します。
上顎中切歯や上顎犬歯といった上顎前歯部では唇側に瘻孔形成する印象があります。
しかしながら、上顎側切歯の場合、根尖が唇側よりも口蓋側に近接することがあるので、口蓋側に腫脹が認められる場合があります。
従来の根管治療で解決すれば一番良いですが、治癒が不完全である場合、歯根端切除術が必要となる場合があります。
唇側からのアプローチ、口蓋側からのアプローチの二通りがあると思いますが、難易度が低い方を選択すればよいと考えられます。
上顎側切歯の根管治療を行う際には、難治性根尖性歯周炎になった場合のことも頭の片隅に置いて、心して取り組まなくてはならないと考えています。

2020年1月15日

hori (08:28)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

歯周病とアミロイドβ

・九州大学大学院歯学研究員らが、ヒト歯周病の歯周組織からアルツハイマー型認知症の脳内老人斑成分が産生されることを明らかにした。
ヒト歯周病患者の歯茎に脳内老人斑成分アミロイドβが発現されること、歯周病菌により肝臓で炎症を起こしたマクロファージがアミロイドβを産生すること、カテプシンBが歯周病菌により惹起された炎症マクロファージにおけるアミロイドβ産生の原因酵素となることを明らかにした。
(アポロニア21 2020年1月号 )
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歯周病菌により肝臓で炎症を起こしたマクロファージがアミロイドβを産生するようです。

hori (08:19)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

IODの成功の基準

・PayneらはIODの成功の基準として、
1. IODを装着してから最初の1年で維持装置の修理は2回以内。
2. 5年以内に維持装置の修理は5回まで。
3. 5年以内でリライニングは1回まで。
の3つの条件を示している。
(参考文献)
Payne AG, Walton TR, Walton JN, Solomons YF : The outcome of implant overdentures from a prosthodontic perspective: prpposal for a classification protocol. Int J Prosthodontics, 14 : 27-32, 2001.
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当院でもIODを行っていますが、全員この条件をクリアしています。

2020年1月 5日

hori (08:04)

カテゴリ:インプラントオーバーデンチャー

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