2020年6月アーカイブ

ジルコニア表面は上皮性付着が起こり、プラークの付着しづらい。

・ジルコニア表面には上皮性付着が起こると考えています。
上皮はスムースな表面に付着を生じます。
ですからアバットメント表面には研磨したジルコニアを用いるのが良いと考えます。
また、ジルコニア表面は負に帯電していますから、プラークが付着しづらいことも示されています。
(クインテッセンス・デンタル・インプラントロジー 2020 vol.27 )
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ジルコニア表面は上皮性付着が起こり、プラークの付着しづらいのであれば、アバットメント表面にはジルコニアがいいかもしれませんね。

2020年6月25日

hori (08:32)

カテゴリ:インプラント周囲炎

骨粗鬆治療薬を休薬しても、顎骨壊死は起こる。

日本骨粗鬆学会や日本口腔外科学会で、休薬しようとしまいと実は効果は変わらない。
つまり休薬しても顎骨壊死は起こるために、「休薬の効果なし」という論文が出されました。
(Dental Tribune Japan Edition 6/2020 )
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骨吸収抑制薬顎骨壊死を惹起する可能性は0.1%程度と聞きます。
そのため、個人的には骨粗鬆治療薬を投与されている患者さんに外科処置を行っても、さほど問題はないのではなかろうかと考えていましたが、「休薬の効果なし」というエビデンスを示す論文がパブリッシュされたようです。

2020年6月20日

hori (08:35)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

受動喫煙でも睡眠の質が低下することを解明

・受動喫煙でも睡眠の質が低下することを解明
若い女性は、受動喫煙により睡眠の質が低下して睡眠時の歯ぎしりにつながる可能性がある。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科らの研究によるもの。
痛みや顎関節症を引き起こす睡眠時の歯ぎしりは、リスク因子として飲酒や逆流性食道炎、ドーパミン作動性障害、喫煙などが報告されている。
研究グループは、受動喫煙の睡眠への影響を明らかにするために、岡山大学の新入生2144人に歯科健診およびアンケートを実施。
喫煙者や習慣的な飲酒をしている人、20歳以上を除いた1781人を対象に「受動喫煙」「睡眠の質」「睡眠時の歯ぎしり」の関連性を分析。
結果、女性のみ、「受動喫煙」が睡眠時の質を低下させ、睡眠の歯ぎしりを誘発させる可能性が明らかになった。
(アポロニア21 2020年6月号 )
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女性のみが「受動喫煙」が睡眠の質を低下させるという結果には考えさせられました。
私が研究者ならば、同じ女性でも閉経した女性で同様の実験を行った場合、睡眠の質に変化が認められるのか追加実験をすると思います。

2020年6月15日

hori (08:51)

カテゴリ:インプラントと喫煙

スカルドビア菌のう蝕誘発メカニズムを解明

・スカルドビア菌のう蝕誘発メカニズムを解明
早期小児う蝕患者から多く検出されるスカルドビア菌のう蝕誘発メカニズムが解明された。
東北大学口腔生化学分野の高橋信博教授らによるもので、高い耐酸性能やフッ化物耐性をもち、特異的な糖代謝機構「ビフィドシャント」がう蝕誘発に関与していることが分かった。
ストレプトコッカス・ミュータンス菌が糖から産生するのが主に乳酸なのに対して、スカルドビア菌は酢酸を産生する。
乳酸と酢酸はともに有機酸だが、pHの低い酸性環境下では、酢酸の方が歯の内部に浸透しやすいことが報告されている。
(アポロニア21 2020年6月号 )
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これからはミュータンス菌だけでなく、スカルドビア菌にも着目していかなくてはなりませんね。

ミュータンス菌だけがう蝕の原因なのか?

・ミュータンス菌だけがう蝕の原因なのか?
健全な歯において、エナメル質表面のプラーク中の細菌群の多くを占める、アクチノマイセスやミュータンス以外の連鎖球菌も酸を産生していて、この酸性度はう蝕になる臨界pHである5.5を下回る強さになることが多いのです。
つまり、普通にプラーク中に存在する菌であっても、う蝕の原因になる可能性があるということです。
ビフィドバクテリウム    pH 3.9-4.0
ラクトバシラス       pH 3.6-4.0
ミュータンス        pH 4.0-4.4
アクチノマイセス      pH 4.3-5.7
ミュータンス以外の連鎖球菌 pH 4.2-5.2
(参考文献)
Takahashi N, Nyvad B. The role of bacteria in the caries prosess : ecological perspectives. J Dent Res 2011 ; 90(3) : 294-303.
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ミュータンス菌は虫歯の原因菌と言われていますが、それ以外にも虫歯を惹起する細菌は存在するようです。

根尖孔拡大は歯根破折のリスクを高める。

抜去歯を用いて破折抵抗性を調べた論文。
ヒト抜去小臼歯(単根)を用い、作業長を根尖孔より-1ミリ(-1ミリ群)、あるいは根尖孔まで(0ミリ群)として、NiTiファイル(K3、SybronEndo ;#25, 0.08テーパー)で根管形成した。
試料をそれぞれさらに2群に分け、一方は#45, 0.02テーパーでの根管形成を追加した。
未処置根管のコントロール群を除くすべての試料を調べた結果を以下に示す。
根管充填前の荷重値は、すべての群でコントロール群より有意に小さい値であり(P<0.05)、作業長によらず#45, 0.02テーパー<#25, 0.08テーパー
(P<0.05)、また形成サイズによらず0ミリ群<-1ミリ群であった(P<0.05)。
一方、根管充填後の荷重値は、すべての群で根管充填前より有意に大きい値であった(P<0.05)。
大きい根尖孔の拡大は破折抵抗性を低くするが、根管充填は破折抵抗性を回復することが示唆された。
破折時の荷重(N)
              根管充填前      根管充填後
根管形成  #25, 0.08   #45, 0.02   #25, 0.08   #45, 0.02
-1ミリ群  1004.6±64.8c  785.0±89.9d   1176.5±56.1b 1137.4±72.2b
0ミリ群   857.7±66.9d  676.6±44.3e   1114.3±98.2b 1372.5±145.9a
コントロール群            1394.1±38.3a
同じアルファベットで有意差なし (P>0.05)
(参考文献)
Prado M, et al. Resistance to vertical root fracture of root filled teeth using different conseptual approaches to canal preparation. Int Endod J. 2016 ; 49 (9) : 898-904.
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今回の報告により、根尖の形成サイズが、(#25、#45)、(0.02テーパー、0.08テーパー)の組み合わせで、根尖孔までの作業で、#45、0.02テーパーという条件では、根管治療を行っていないコントロール群と差がないことが明らかになりました。
またきちんと根管充填を行うと、破折抵抗性が回復することも明らかになりました。

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