2022年8月アーカイブ
無歯顎の男性は、死亡リスクが1.67倍高くなる。
東北大学らの研究報告では、高齢者約5万2000人を6年間追跡し、現在歯数や咀嚼機能の低下、むせ、口渇など口腔の状態の死亡への影響を、他の修正可能なリスク因子とともに調べた。
その結果、特に男性は無歯顎は修正可能なリスク因子の中で、最も高い死亡リスク(ハザード比1.67)を示した。
さらに危険因子が集団に与える影響の大きさを表す「人口寄与割合(PAF)」は、歯の本数によるPAFが18.2%と最も大きな値となった。
女性の無歯顎は、ハザード比1.37で、PAFは8.5% だった。
(アポロニア21 8月号 )
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現在歯数や咀嚼機能の低下、むせ、口渇などの他の口腔の状態よりも無歯顎というリスク因子は、最も高い脂肪リスクを示したことが明らかになりました。
また女性よりも男性の方が、無歯顎の場合の死亡リスクは高いことも明らかになりました。
医療費自己負担が多いと格差拡大
東北大学らの研究では、65歳以上の高齢者2万1594人のデータを解析。
その結果、重度の歯の喪失(歯の本数9本以下)にもかかわらず義歯を使用していない者の割合は、窓口負担「3割の群」で18.3%、「2割の群」で13.3%、「1割の群」で8.5%だった。
さらにロジスティック解析分析をすると、1人当たりの所得を表す等価所得が「低位の群」は「高位の群」と比べ、義歯を使っていない確率が「3割不安」で1.81倍、「2割負担」で1.57倍、「1割負担」で1.53倍高かった。
研究グループは、義歯不使用の所得格差については、自己負担割合が大きな群ほど格差があったとまとめたうえで、「義歯使用の格差を縮小させるためには、国際的に歯科医療保険のカバーの程度を広げる政策が必要であり、この研究が一つのエビデンスになることが期待される」とコメントしている。
(アポロニア21 8月号 )
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歯の本数が9本以下のにかかわらず、義歯を使用していない者の割合が、窓口負担「3割の群」で18.3%、「2割の群」で13.3%、「1割の群」で8.5%であることが明らかになりました。
「1割負担」の高齢者よりも「3割負担」の若者の方が、お口の健康レベルは低い場合があることが推測されました。
現在歯数が減ると、男性は女性より死に至りやすい。
・Nakazawaらは、高齢者を対象に現在歯数や咀嚼機能の低下、むせ、口渇といった口腔の健康状態を介入可能なリスク因子として選択し、その他のリスク因子と同時に死亡率への影響の大きさを人口寄与因子リスクとして計算し、比較を行った。
男性では現在歯数が18.2%と全リスク因子のなかで最も大きな値を示し、女性おいても現在数で8.5%と高い値を示した。このことから、現在数をより多く保つため、ライフコースを通じて歯の喪失を防ぐ介入を続けることは、脂肪を予防するうえで、重要な意味をもつことが示された。
(参考文献)Nakazawa N, et.al. Large contribution of oral status for death among modifiable risk factors in older adults: the JAGES prospective cohort study. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2022 Mar 1 : glac052.
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死亡をもたらすリスク因子は多数ありますが、その中でも、男性では現在歯数が18.2%という全リスクの中でも大きな値を示したのに対して、女性では8.5%という相対的に低い値を示しました。
興味深い結果であると考えています。
スギに虫歯菌抑制効果
・宮崎大学の研究では、オビスギの抽出物にグラム陽性菌の発育阻害作用があると証明されていることから、グラム陽性菌の一種である虫歯菌のStreptococcus mutansにも効果があること考えられていた。
そのことに着目した2人は、葉から有機溶媒を用いて殺菌成分を抽出。
虫歯菌をオビスギの抽出物を混ぜた培地に入れ、増殖するか確認する実験を行った。
その結果、オビスギの成分に虫歯菌の増殖を抑える効果があること解明した。
(アポロニア21 2022年6月号 )
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スギに虫歯菌抑制効果があることが明らかになりました。
肥満被検者は歯周病が進行しやすい可能性がある。
岡山大学の研究グループは、高脂肪食を与えた肥満ラットと普通食を与えたラットの歯槽骨の吸収状態を比較。
肥満ラットの方が歯槽骨の吸収が大きく、歯周病が進んでいることを確認した。
(参考文献)
Journal of Periodontal Research(3月2日)
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肥満被検者は歯周病が進行しやすい可能性があることが明らかになりました。