2024年6月アーカイブ
Cracked Tooth Syndrome(CTS)への対応
CTSの治療で矯正バンドを用いて患歯を囲繞して固定後に咬合調整を行い、臨床症状の改善を待って歯髄を保存したまま全部被覆冠での歯冠修復を行った報告。
90%以上(122本中113本)が2か月以内に歯髄症状が改善していた。
逆に改善しなかった症例で不可逆性歯髄炎や歯髄壊死の診断にいたるまでの中央値は3か月であり、概ね2,3か月が歯髄保存の判断に要した時間だった。
また、術前の臨床症状が強いほうが歯髄の保存の可否の判断まで長い時間が必要だった。
(参考文献)
Characteristics of cracked teeth with reversible pulpitis after orthodontic banding- a prospective cohort study. Seet RF,et.al. J Endod. 2022; 48(12) : 1476-1485.
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近年、歯冠破折歯、歯根破折歯は増加傾向にあり、抜歯即時インプラントで対応する方法がある一方で、歯髄を残せるかどうか2,3か月間痛みに耐えながら、歯髄の保存、歯牙の保存にトライする方法も存在します。
仮にCTS歯に対して、矯正バンドで患歯を固定する場合には、自由診療での対応になります。
根尖突出歯は漏洩事故が起きやすい。
根尖孔からNaOClが漏洩した事故を経験した患者(漏洩群)と事故がなかった患者(コントロール群)を対象として、漏洩事故の解剖学的な原因を調べた研究。
無害なX線不透過性の溶液を用いて根管洗浄をし、CBCT撮影を行って分布を調べた。
コントロール群では皮質骨の開窓がなく、根尖単が骨内または病変内にあった。
漏洩群では根尖部の皮質骨が開窓し、根尖が突出していた。
(参考文献)
Mapping the periapex anatomical pattern of teeth involved in sodium hypochlorite accidents: a cross- sectional quasi- experiment study. Souza EM, et al. Int Endod J. 2021; 54 (8): 1212-1220.
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根尖突出、いわゆるフェネストレーション歯では、漏洩事故が起きやすい、という考えてみると当り前ではありますが、そのような視点は個人的には欠落していました。
根尖突出は、上顎中切歯、犬歯、第一小臼歯、第一大臼歯で多いということを考えると、この歯種における根管洗浄は注意が必要であるといえることでしょう。