2024年10月アーカイブ

逆根管治療の術後の痛み予測は可能なのか?

逆根管治療後の術後疼痛の経過と、疼痛の予測因子に関する研究。

逆根管治療が行われた18-75歳の健康状態に問題のない173名について検討した。

術後5日間の疼痛を4台会で記録した。

痛みのレベルは、

0:痛みなし

1:軽度の痛み(鎮痛剤の服用を必要としない不快感)

2:中等度の痛み(鎮痛剤の服用でコントロールできる痛み)

3:強い痛み(鎮痛剤の服用で緩和されない痛み)とした。

平均疼痛レベルは1日目が最高で、その後徐々に減少した。

術後1日目で強い痛みはであった。

患者のほとんどは1日目、2日目に軽度あるいは中等度の痛み、3-5日目に痛みを最も多く記録していた。

5日目には86.5%の患者が痛みなし、または軽度の痛みであった。

強い痛みの予測因子を固定するため統計解析を行うと、性別、年齢、術前の骨の厚さに有意差を認めた。(P<0.05)。

術後の強い痛みの起こるオッズ比は女性患者が男性患者と比較して2.8倍増加、年齢が1歳上がると1.04倍現象、術前の骨の厚みが1ミリ増加するごとに1.4倍増加した。

(参考文献)

Malagise CJ, et al. Severe pain after endodontic surgery: an analysis of incidence and risk factors. J Endod 2021; 47 (3): 409-414.

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逆根管治療術後の強い痛みの起こるオッズ比は女性患者が男性患者と比較して2.8倍増加、年齢が1歳上がると1.04倍現象、術前の骨の厚みが1ミリ増加するごとに1.4倍増加することが明らかになりました。

2024年10月20日

hori (08:29)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

大きな根尖病変に対する根管治療後の予後予測因子

大きな根尖病変に対する根管治療後の予後予測因子 CBCTを用いた後ろ向き研究
(研究目的)
大きな根尖病変を有する歯の根管治療後、完全に治癒するまでの期間及び影響を与える因子をCBCTによる経過観察で評価すること。
(研究内容)
最大径10-15ミリの根尖病変を有する79歯に対して、歯内療法専門医が根管治療を行った。
その後6か月おきに口内法デンタルエックス線撮影、12か月おきにCBCT撮影を行い、48か月の経過観察を行い、根管治療のみで根尖部透過像が完全に治癒するまでの期間を評価した。
治療前の透過像の体積、年齢、性別、治療の種類(初回根管治療か再根管治療)、および根管充填材の種類が病変の治癒期間に与える影響を解析した。
(研究結果)
治癒しなかった19歯中14歯には外科的歯内療法、5歯では抜歯が行われた。
治癒期間を有意に延長させる因子として、患者の年齢および術前の透過像の体積が特定された(p<0.001)。
性別、根管充填材、治療の種類は治癒に影響を与えなかった(P>0.05)。
(結論)
大きな根尖病変を有する歯の根管治療においては、患者の年齢、病変の大きさが治癒期間に影響を与えることが示唆された。
CBCTを用いた経過観察は、根尖病変の状態を詳細に評価することができ、経過観察期間における治療方針決定の一助となることが示された。
(参考文献 Mosquera-Barreiro C, Ruiz-Pinon M, Sans FA, Nagendrababu V, Vinothkumar TS, Martin-Gonzalez J, Martin-Biedma B, Castelo-Baz P. Predictors of periapical bone healing associated with teeth having large periapical lesions following nonsurgical root canal treatment or retreatment: A cone beam computed tomography-based retrospective study. Int Endod J, 57(1) : 23-36,2024.)
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大きな根尖病変を有する歯牙に対する根管治療の効果をCBCTで予後予測が有効であることは、頭で考えただけでも当然と考えられます。
しかしながら、今回の論文では具体的な数字が示されたことにその価値があると考えられます。
すなわち、完全治癒の割合が76%、不完全治癒が24%。
その不完全治癒のうち、74%に対して、追加で外科的歯内療法を行い、26%に対して抜歯を行ったという結果でした。
また、根尖病変の大きさが小さいほうが、そして年齢が若い方が治癒期間は短縮する方向に向かいやすく、完全治癒の平均期間は完全な治癒は76%(60/79歯)で認められ、その平均期間は19か月という結果でした。

2024年10月15日

hori (08:49)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

やはり初回治療症例は、成功率が高い。

Sjogrenらは1977-1979年に行った635歯の849根管を対象に、8-10年後の状態を分析して、治療結果に影響を及ぼした項目を検討した。
まず、術前に歯根周囲のX線透過像がない症例の成功率は96%を超えていたが、歯根周囲の X線透過像がある症例では86%しか治癒を認めなかった。
次に根管充填の位置については、歯髄壊死や根尖透過像を有しているが、初回治療の場合、X線的根尖から2ミリ以内の成功率は94%で、オーバー(50%)と2ミリ以上アンダー(65%)の3者間に有意差は認められなかった。
(参考文献 Sjogren U, et al. Factors affecting the long-term results of endodontic treatment. J Endod. 1990;16(10) 498-504.)
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やはり術前に歯根周囲のX線透過像がない症例と歯髄壊死や根尖透過像を有していても初回治療症例は、成功率が高いということを再認識しました。

2024年10月 5日

hori (09:08)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

オーバー根充VSアンダー根充

Schwartzらは、1959-1979年に歯内治療を行った1007歯の1770根管を対象とし、6か月-10年後の状態を調べ分析している。
X線写真で、オーバー、アンダー・フラッシュの3つに分類し評価した結果、オーバー根充はアンダー根充よりもおよそ4倍失敗率(36.59%と8.10%)が高かったと報告した。
また、フラッシュ根充も解剖学的にみれば大多数がオーバー根充となりえるということは臨床状留意するべきである。
(参考文献 Swartz DB, et.al. Twenty years of endodontic success and failure. J Endod. 1983; 9(5) : 198-202.)
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確かにフラッシュ根充は大多数がオーバー根充かもしれません。
歯牙への咬合力が大きい場合、根尖にセメント質が添加されるわけですから、適切な歯根長はX線上ではより短めになる可能性もあるのではないかと考えています。

2024年10月 1日

hori (08:15)

カテゴリ:インプラントと歯内療法

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