下顎骨は経年的に後方回転し、天然歯は挺出しながらその変化に適応する。

・池元らは、新潟大学歯学部で実習用に撮影した側面セファログラムと、その後1.5年以上(15-22年)経過した歯科医師(男性、23名)に同意を得て撮影したものを比較検討した。
上顎骨に有意な変化は認められなかったが、下顎骨は時計方向に回転し、後下方に位置変化していた。
歯の変化については、大臼歯は上顎では前下方に、下顎では前上方に変化していたのに対して、上顎前歯は舌側に傾斜しながら挺出し、下顎前歯は歯軸方向に挺出する傾向を示したとしている。
・下顎大臼歯部にインプラント、他は天然歯の場合
下顎骨は経年的に時計方向に回転し、それを補償するために天然歯が挺出すると、下顎のインプラントと天然歯にはオープンコンタクトが発現し、上顎大臼歯は挺出して、インプラント上部構造とは咬合することが想定できる。
(歯界展望 2016年7月号)
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加齢により、舌骨の位置が下がるとともに、下顎骨は後方回転する傾向にあるそうです。
また池元らの研究報告によると、下顎が後方回転した際の上下顎歯の隙間を埋めるかのように、上下の天然歯はそれぞれ挺出してくることが明らかになりました。
これをもとに考えると、最後方の歯やインプラントは経年的に咬合接触が変化すること、インプラントとその手前の天然歯の間にはオープンコンタクトが生じる理由も理解できると思います。
さらに、上下6・7にインプラント、それ以外が天然歯という場合であれば、下顎が後方回転するならば、補綴直後よりも上下7同士の咬合は過剰になり、それとは反対に上下6同士の咬合は不足する方向に向かうということが推測されます。
そうなると、上下の6インプラントがしっかり咬合するように、上下7の咬合は削合し続けなければ、7は破壊されるリスクが高くなるのではなかろうか、あるいは上下7の咬合接触が常に過剰になる傾向にあるのなら、7は6よりもすり減りやすいマテリアルを選択した方が良いのだろうか、などと考えてします。

2016年9月10日

hori (08:31)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

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