各インプラントシステムにおける、繰り返しねじり試験を行った前後の緩みトルク値減少率
・各インプラントシステムで、繰り返しねじり試験を行った前後の緩みトルク値減少率
スタンダード プラス(ストローマン) 9.9%
オッセオ スピード(デンツプライIH) 13.5%
カムログ Kシリーズ プロモートプラス(アルタテック) 9.5%
リプレイス セレクト テーパード(ノーベル バイオケア) 4.7%
ブローネマルクマーク?(ノーベル バイオケア) 2.4%
セティオ(GC) 4.6%
結果?繰り返しねじり試験後のゆるみトルク値は、繰り返しねじり試験前のゆるみトルク値よりも小さな値を示し、5種類のインプラントシステム間においては有意差を認めた。
?ゆるみの程度はインプラントシステム間で有意に異なり、テーパー嵌合を有するシステムでは大きな緩みを生じ、外部六角機構のものでは緩みが生じにくい傾向を示した。
(日本歯科評論 2016年11月号 )
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各インプラントシステムで、アバットメントの緩みやすさが異なることが明らかになりました。
個人的にも、緩みやすいシステムと、そうではないシステムがあるとは認識してはいましたが、各システムの緩みトルク値減少率として数字化されたデータを見るのは初めてです。
この中で注目すべきは、ノーベルバイオケア社のアバットメントの緩みが、他社よりも有意差をもって小さいことです。
だからこそ、ノーベルバイオケア社の角度付アバットメントは"40度まで対応可能"としていたのかもしれません。
ただ、ノーベルバイオケア社のタイユナイトという表面性状が、インプラント周囲炎を惹起しやすいタイプであること。
ALL on 4のように、フィクスチャーとアバットメントの角度が大きい状態にしてしまうと、清掃性が困難であること。
アバットメントが緩まないだけに、辺縁歯槽骨の吸収が惹起される危険性が危惧されることなどにより、堀歯科医院ではこのメーカーのインプラントは使用しておりません。
また、アバットメントのネジが緩みやすいメーカーのインプラントでも、咬み合わせの調整をしっかりと行うことで、ネジが緩む頻度を大きく減らすことは可能です。
さらに、ネジが緩まないということは、上部構造がしっかりと固定されているという面からはもちろんプラス評価ですが、異常な力が特定の部分にかかると、ネジが緩むという形で私たち医療従者だけでなく、患者さん自身にも分かるという考え方もあります。
(患者さんが異常に気が付くので、大きなトラブルにならない、あるいはなりにくいと考えています。)
すなわち、異常な力の集中が、ネジが緩まない場合には、インプラント周囲の歯槽骨を破壊する方向に傾き易いという問題をはらむ一方で、何か問題が生じるならば、ネジの緩みとして問題が表出するように、あえてウイークポイントを残す方が無難であるという考え方もあるということです。
インプラント周囲の歯槽骨と上部構造のネジの緩みで、どちらが大切かといえば、歯槽骨の方が大事なのです。