割れない補綴物が良いのか?!

・目に見えない強い力は、被圧変位を起こすだけでなく、あらゆる咀嚼器官に及び、骨格を変形させ、顎関節を圧迫し、歯列を変える。
歯や歯槽骨、修復物を攻撃する。
そしてその魔の手は歯科医のあらゆる不名誉な原因となろうとしている。
ところが、我々は直面する現象の分類はおろか、記述すらまだすませていない。
材料学の分野では(実は臨床サイドの要望に応えて、というのが実情なのだが)ほとんどそれを放棄し、対抗手段を選ぼうとしている。
「より堅く、より強く」の延長線上にジルコニアが浮上し、割れないことで歯科医の名誉を守る手段に走り出した。
(Clinical Prosthodontics 内藤正裕の補綴臨床 オーバーロードと向き合う )
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割れない補綴物が良いという側面は確かにあります。
しかしながら、過大な咬合力がかかった際に、補綴物が破損した方が良いという側面も実はあると考えています。
補綴物の修理あるいは再補綴は、フィクスチャーの破折やインプラント周囲の歯槽骨の破壊、アバットメントスクリューの破折等と比較すると、リカバリーがしやすいので、どこかが壊れるのならば、補綴物が壊れればよいと考えています。
破損した補綴物に対して、ミニマムな修理を行うことで、破損の前後で、そのインプラントにかかる咬合力が相対的に減少します。
咬み合わせが不安定になる傾向がなければ、"あえて割れる可能性がある補綴物を選択する"というのもアリかと考えています。
ここでも、『最新が必ずしも最善とは限らない』ということになります。
すなわち、補綴物が破壊されると、その時点で咬合負担する面積が減少しますから、ミニマムな修理を行うだけに留めると、補綴物の破損の前後で、少しだけ咬みにくい状態に変化します。
人はわざわざ咬みにくいところで、咬もうとはしないものです。

2017年5月15日

hori (17:40)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

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