主機能部位が存在する位置と咬合接触面積と咬合力の関係

・主機能部位が存在する位置と咬合接触面積と咬合力の関係
(目的)
すべての正常有歯顎者において、ストッピングの圧平により示された主機能部位の範囲内に咬合力が発現する領域と咬合接触が認められた。
主機能部位に発現した咬合力の平均値は79.3N(SD55.2)であり、主機能部位の領域内の咬合接触面積の平均値は6.6平方ミリメートル(SD4.8)であった。
(結果と考察)
主機能部位が下顎第一大臼歯に存在する(M1)、第一・第二大臼歯間に存在する(MB)、第二大臼歯に存在する(M2)に分類し、
1.ストッピングが圧平され、咬合接触と咬合力が発現した部位は、M1が120側(59.4%)、MBが50側(24.8%)、M2が32側(15.8%)だった。
2.咬合接触面積の平均値は、M1では6.9平方ミリメートル(SD4.6)、MBでは6.4平方ミリメートル(SD5.7)、M2では6.0平方ミリメートル(SD4.5)であり、有意差は認めなかった。
3.咬合力の平均値は、M1では72.7N(SD)47.6、MBでは85.8N(SD59.1)、M2では93.8N(SD71.3)であり、有意差を認めなかった。
4.咬合力表示面積の平均値は、Mでは2.3平方ミリメートル(SD1.4)、MBでは2.6平方ミリメートル(SD1.8)、M2では2.7平方ミリメートル(SD2.1)であり、有意差を認めなかった。
以上のことから、主機能部位の位置によって、発現する咬合接触面積と咬合力には差異が認められなかった。
主機能部位が下顎第一大臼歯に存在する場合には、発現する咬合接触面積は大きい値を、咬合力は小さい値を示す傾向がみられた。
(参考文献)
山本司将, 中村健太郎, 他. 主機能部位が存在する位置と咬合接触面積と咬合力の関係. 補綴誌 2017;9・126特別号 :162.
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主機能部位が下顎第一大臼歯に存在するM1の場合と比べて、MBやM2では、様々な問題が生じると考えられます。
例えば、MBはM1やM2と比べて、フードインパクションが生じやすいことが挙げられます。
また、M2の咬合接触部位や咬合力の大きさによりますが、主機能部位が下顎第二大臼歯の遠心部にある場合は、近心部よりも歯牙や歯槽骨の破壊が惹起されやすいように考えられます。
さらに、下顎第二大臼歯の後方に下顎第三大臼歯の有無やそれが存在した場合の咬合接触も、何か結果に影響を与えそうです。
この研究報告では、「主機能部位の位置によって、発現する咬合接触面積と咬合力には差異が認められなかった」とのことですが、被験者を増やして再度同様の調査を行えば、有意差が出る可能性があります。
今後に期待したいところです。

2018年3月 1日

hori (08:53)

カテゴリ:インプラントと過剰な力

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