根分岐部病変の予後が悪い理由。
・根分岐部病変の予後が悪い理由は、歯肉線維が関係していると考えられる。
歯肉線維には1.歯牙歯肉線維 2.歯牙骨膜線維 3.歯槽歯肉線維 4.輪状線維の4種があり、歯と歯肉の付着、歯肉の増強に関与している。
根分岐部病変2,3度の歯では、歯の周囲には走行していない。
そのため、根分岐部を治療しても歯肉を補強する弾力性が弱く、また付着も弱く治癒しにくいと考えられる。
つまり、治癒後に輪状線維が歯根周囲をしっかりと囲めるように、凹凸の少ない単純な歯根形態にすることが長期的な予後に関係していると考えれる。
(参考文献)
亀山洋一郎 : 歯肉線維と歯根膜線維. 岩手歯誌, 1:137-142, 1976.
*****
根分岐部に対する歯周外科の予後を確実なものにするためには、歯根形態を単純化し、輪状線維が歯根周囲をしっかりと囲まれるようにすることが明らかになりました。
しかし、根分岐部病変の状態が悪ければ悪いほど、当然根管治療が必要になるケースが多くなり、場合によっては抜根も視野に入るかと考えられます。