インプラント周囲上皮は、健康な歯の周囲歯肉より約3倍破壊が生じやすい?!

・インプラント周囲上皮の防御能を知るために上皮細胞の交代(ターンオーバー)の速さを調べる方法がある。
細胞交代と関連する細胞の増殖率をインプラント周囲上皮と正常付着上皮とを比較するものである。
具体的には、増殖細胞核抗原を用いた免疫組織化学的検索でそれぞれの陽性率を約13%であったのに対し、正常付着上皮(厳密には付着上皮と歯肉溝上皮)では約36%であった。
このことは、インプラント周囲上皮細胞の増殖率は正常付着上皮の約1/3であり、上皮細胞の交代(ターンオーバー)が約3倍遅いことを現している。
細胞交代が遅いことはインプラント周囲上皮の防御機能が正常付着上皮のそれよりも劣っていると考えられ、臨床的には、インプラント患者のコントロールをより厳密に行う必要があることを示唆している。
(参考文献)
井上孝, 下野正基. インプラントと周囲組織. In : 下野正基, 飯島国好(編). 治癒の病理 臨床編 第4巻インプラント. 東京 : 医歯薬出版, 1996 ; 242-260. 
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健康な歯周組織ではターンオーバーが速いので細胞の抗体がスムースに起こる。
したがって、たとえプラークの攻撃によって歯肉上皮細胞が損傷を受けても十分な細胞補充があるので、健康状態を維持できる。
一方、上皮のターンオーバーが遅いと損傷を受けた細胞の交代となる細胞を補充できないので、歯周局所では歯周ポケットの形成が起こる、とのことです。
そして、具体的にはインプラント周囲細胞のターンオーバーは、正常付着上皮の約1/3程度のようです。
プラークコントロールの不良等の原因で、一度歯を失った人に対して、インプラント治療を行うということは、患者さんサイドも治療者サイドも、それ相当の覚悟をもって、インプラントのメンテナンスを続けていかなくてはならないということになります。

2017年1月25日

hori (08:46)

カテゴリ:インプラント周囲炎

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