歯周病によりインフルエンザは長期化する。
インフルエンザは、細菌との混合感染や二次感染によって増悪、重症化することが知られている。
実際に、肺炎球菌や緑膿菌による肺炎や気管支炎がインフルエンザによる死亡率を著しく上昇させる。
また、黄色ブドウ球菌が産生するプロテアーゼがHAを活性化し、ウイルス感染を促進することが知られている。
インフルエンザと口腔細菌との関連性も示されている。
世界中で約4000万人が死亡したといわれる1918年のスペインかぜにおいて、何らかの口腔疾患保有患者罹患率と死亡率は、疾患のない人のそれと比べ、ともに2-4倍高かったとする報告がある。
またウイルスと歯周病原細菌を混合感染させたマウスではインフルエンザが長期化すること、さらには2009年のパンデミック時、感染者の肺から口腔のStreptococcus属細菌が検出されたことが報告されている。
これらの事実と、ウイルスの感染部位が口腔近傍の上気道および咽頭であることを考え合わせると、口腔細菌がインフルエンザの病態進行に関与している可能性が推察されるが、その関連性を分子レベルで示す研究は行われていなかった。
(参考文献)
Kuroda M, Katano H, Nakajima N, Tobiume M, Ainai A, Sekizuka T, Hasegawa H, Tashiro M, Sasaki Y, Arakawa Y, Hata S, Watanabe M, Sata T : Characterization of quasispecies of pandemic 2009 influenza A virus (A/H1N1/2009) by de novo sequencing using a next-generation DNA sequencer. PLoS One, 5(4) : e10256, 2010.
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歯周病があるとインフルエンザが長期化するリスクがあるというエビデンスです。
また、歯周病で抜歯を受け、インプラント治療を受けた方は、インプラント周囲炎になるリスクが高いというエビデンスもあります。
ということになると、インプラントを長持ちさせるためにも、インフルエンザになるリスクを減少させるためにも、メンテナンスは必要であるということになります。