アバットメント接合様式が上顎前歯部単独インプラントの審美に与える影響

・アバットメント接合様式が上顎前歯部単独インプラントの審美に与える影響:ランダム化比較臨床試験による5年間の追跡調査
(概要)
本研究は、上顎前歯または上顎第一小臼歯の単独歯欠損に対してインプラント治療を行う患者を対象とした。
欠損部に対し、3種類のアバットメント接合様式を有するインプラントシステムを用いて即時暫間修復を行った。
A. コニカルインターフェース(コニカル群:OsseoSpeed TX, Dentsply Sirona)
B. フラット-フラットインターフェース(フラット群:NobelSpeedy Replace, Nobel Biocare)
C. プラットフォームスイッチング(スイッチング群:NanoTite Certain PRE-VAIL、Biomet 3i)
(結果)
研究全体の辺縁骨の変化量は、60か月の機能期間中でー0.05-?1.57ミリの範囲にあり、60か月後の平均辺縁骨変化量はー0.78±0.81ミリであった。
群間比較では、すべての評価時点で、コニカル群(?0.16±0.45ミリ)とフラット群(?0.92±0.70ミリ)、コニカル群(?0.16±0.45ミリ)とスイッチ群(?0.81±1.06ミリ)の間に統計学的な有意差があった。
(考察)
異なるアバットメント連結用様式の3つのインプラントシステムを用いた本研究では、次の主要な知見が得られた。
コニカル群の辺縁骨の減少量はほかの2群と比較して有意に少なかった。
すべての群ではゼニスの垂直的な位置は安定していた、辺縁骨レベルとインプラント周囲の軟組織の変化との関連はなかった、組織の変化は埋入後6か月までの初期に観察され、その後は安定していた。
インプラントとアバットメントの境界、すなわちマイクロギャップにおけるマイクロリーケージによる細菌汚染が、インプラント周囲の炎症の原因として挙げられることがある。
インターナルコニカルコネクションではマイクロリーケージが少ないという報告もあり、本研究のコニカル群において観察された有意に少ない辺縁骨の減少量は、マイクロリーケージが少ないことが骨の保存に有利に作用した結果である可能性がある。
また、歯槽骨頂部に対する機械的負荷は、インプラントとアバットメントのインターフェースデザインの影響を受けると考えられており、コニカルインターフェースは、荷重をより適切に分散し、皮質骨に損傷を与えて歯槽頂骨の吸収につながるピーク応力を回避する可能性がある。
(参考文献)
Cooper LF, Reside G, DeKok K, Stanford C, Barwacz C, Feine J, Nader SA, Scheyer T, Maguire M. A 5-Yeaaar Esthetic RCT Assessment of Anterior Maxillary Single-Tooth Implants with Different Abutment Interfaces. Int J Oral Maxillofac Implants 2021 ; 36(1) : 165-176.
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コニカルインターフェースを有するOsseoSpeed TXの方が、有意な差をもって、 フラット-フラットインターフェースを有するNobelSpeedy Replaceや プラットフォームスイッチングを有するNanoTite Certain PRE-VAILと比較して、辺縁骨レベルが低下しないために、審美領域では特に信頼できるインプラントシステムであることが明らかになりました。

2021年6月20日

hori (08:40)

カテゴリ:インプラント周囲炎

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