インプラント支持型のサージカルガイドによるインプラント埋入の角度の誤差は8.44度。
・2009年にSchneiderらがまとめたシステマティックレビューによると骨支持型、粘膜支持型、歯牙支持型、インプラント支持型で誤差を比較したところ、骨支持型が最も誤差が大きく、歯牙支持型が最も誤差が少なかったことが報告されている。
インプラント支持型の誤差が比較的大きいのは、無歯顎患者が対象となるケースが多いことが原因していると考えられた。
・各種サージカルガイドタイプ別の誤差
骨支持 粘膜支持 歯牙支持 インプラント支持
起始点の誤差 1.35ミリ 1.06ミリ 0.84ミリ 0.83ミリ
先端部の誤差 2.06ミリ 1.60ミリ 1.20ミリ 2.17ミリ
角度誤差 6.39度 4.51度 2.82度 8.44度
(参考文献)
Schneider D, Marquardt P, Zwahlen M, Jung RE. A systematic review on the accuracy and the clinical outcome of computer-guided template-based implant dentistry. Clin Oral Implants Res 2009; 20 Suppl 4 :73-86.
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サージカルガイドは、コンピュータや模型上で、使用するインプラントの径や長さ、埋入する方向などを予め決定し、どの方向にどのくらいドリリングするかの目安にできる装置です。
このサージカルガイドは、一見、術者も患者さんも楽に治療が行えるようにも思いますが、いくつかの欠点があります。
問題点として挙げられるのは、誤差が大きくならないように、スリーブとドリルの内径差を小さくするとドリリング時の冷却が困難となり、骨火傷が生じ、インプラントがインテグレーションしないこと。
さらに、サージカルガイド自体の高さがあるために、開口量が十分ではない方の最後方臼歯部では、サージカルガイドを使用できないことが挙げられます。
(最後方臼歯部にもサージカルガイド使用できるように、意図的に短いインプラント体を選択した方がよいのではなかろうか、という議論さえ上がっていますが、本末転倒です。)
また以下にサージカルガイドの個人的見解を記載します。
・歯牙支持タイプの誤差は比較的小さいものですが、中間欠損におけるインプラント埋入の場合、そもそもサージカルガイドが必要がない。
・サージカルガイドを使用した方がインプラント手術を比較的容易に行うことができる可能性がある無歯顎者へのインプラント支持タイプでは、サージカルガイドの角度の誤差が大きい。
・歯槽骨量が十分ではない方が多い日本人で、8.44度もの誤差を容認できる患者さんがどれほどいるのか?と思います。
サージカルガイドも、メーカー主導で、いかにも最先端技術のように謳っていますが、何十年も使用する予定のインプラントで、インプラント埋入の手術時間を少しばかり短縮する意味はそれほど多くはないように感じます。
やはりここでも、『最新は最善とは限らない。』ということになります。