インプラントの偶発症の最近のブログ記事
インプラント埋入時における出血。
歯科インプラントの臨床結果にクラウン-インプラント比が及ぼす影響
後上歯槽動脈を損傷した際、止血が困難である理由。
上顎大臼歯が上顎洞に入り込んでいる割合
インプラントも50μmまでは動揺する。
臼後孔
BP薬剤は、下顎皮質骨骨密度を大きく上昇させる。
下口唇枝の走行は大きく分けて二つある。
・オトガイ神経の分岐の中で下口唇枝は太い神経が1本で下唇に向かう場合と2本以上で様々な方向から下唇に向かう場合があり、神経損傷でその後の治癒過程に差が出るのはそのためであると思われる。
(日本歯科医師会雑誌 2012年12月号 )
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インプラント埋入手術の偶発症として、神経損傷があります。
その中でも、オトガイ神経の損傷は、下歯槽神経や舌神経の損傷と並び、大きな問題となります。
下口唇枝は、このオトガイ神経の末梢に位置します。
今回の報告で、下口唇枝の神経の走行が、太い神経が1本の場合と、2本以上で様々な方向から下唇に向かう場合があることがわかりました。
この二つのタイプにより、口唇の感覚は何かしらの違いがあるのでしょうか。
また、神経の走行の仕方によって、同じ神経損傷でも、治癒過程が異なるのはもっともな話といえることでしょう。
ある意味、興味深い分野です。
下歯槽神経障害の10%が、インプラント埴立後。
2007年、デンマークの口腔外科医のHillerupらは、下歯槽神経障害を主訴として外来を訪れた患者(12か月以上の経過を終えた52名)を検討した論文をInt J Oral Maxillofac Surg に記述しています。
その結果、下顎智歯の抜去後が36症例(69%)、インプラント埴立後が5症例(10%)、局麻注射によるもの5症例(10%)で、圧倒的に智歯抜去後の下歯槽神経障害が多く、そのうち60%で知覚が回復し、21%は不変、19%は悪化の傾向を示したと報告しています。
(日歯生涯研修ライブラリー 下歯槽神経・舌神経の神経障害に対する診査・診断と外科的対応 )
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インプラント治療の偶発症の一つに、神経麻痺があります。
インプラント治療では通常、他の患者さんの治療を並列で行うことはありません。
一方、保険診療での下顎智歯の抜歯は、インプラントよりも難易度判定が難しい場合があるので、治療時間が大幅に延長する結果となる場合があります。
また、保険診療であるがゆえに、十分な時間が取れない場合があります。
例えば、次の患者さんをお待たせしていたり、そもそも並列して他の患者さんの治療をする予定となっている場合です。
下歯槽神経障害の原因として、局所麻酔が10%、下顎智歯抜歯が69%という事実を頭に置き、インプラント治療はもちろんですが、一般歯科治療にも注意深い施術が必要だと感じました。