臼後孔

臼後孔は臼後部に存在する下顎管と連続する孔で、頻度は3-75%と報告によりさまざまであるが、Dr岩永譲らのCBCTでの研究では26%の患者に認められた。
臼後孔は下顎孔付近の下顎管から直接分岐する臼後管が臼後部に開く孔であるため、構成要素も下顎管に近い。
多くの場合、レトロモラーパッドから1-2歯分前方までの大臼歯頬側歯肉の知覚支配をしている。
他の副孔同様、大きな臼後孔(径が1ミリ以上)の損傷は極力避けたい。
臼後孔のパノラマエックス線写真での検出率は1%以下と非常に低く、パノラマエックス線写真での判断はできないと考えた方がよい。
(参考文献)
Kikuta S, Iwanaga J, Nakamura K, Hino K, Nakamura M, Kusukawa J. The retromolar canels and foramina : radiographic observation and application to oral surgery. Surg Radiol Anat 2018 ; 40(6) : 647-652.
*****
日本人の臼後孔出現率は26%程度であることを踏まえ、智歯抜歯時には臼後孔を損傷しないように気を付けてCBCTの読影を行うことが大切であると考えられます。

2019年6月 1日

hori (08:37)

カテゴリ:インプラントの偶発症

« 日常的なデンタルX写真におけるアンダーの判定は意外と不正確。 | ホーム | 透析患者は、象牙質知覚過敏症状や酸蝕症のリスクが高い。 »

このページの先頭へ