支台歯の色、セメントの色、セラミックスの厚みが、CAD/CAMセラミックス冠の視覚的色彩に与える影響
・支台歯の色、セメントの色、セラミックスの厚みが二ケイ酸リチウム強化型モノリシック(一体構造型)CAD/CAMグラスセラミックスクラウンの視覚的色彩に与える影響
1. 4つの支台歯色(light, medium light, medium dark, dark),
2. 二つのセメント色(variolink?,のtranslucentと opaque)
3. セラミックスの厚み(1.0?、1.5?、2.0?、2.5?)である。
それぞれの色の組み合わせで分光測定器を用いて測定し、色の違いを計算する。
結果:二ケイ酸リチウム強化型モノリシック(一体構造型)CAD/CAMグラスセラミックスクラウンの色の違いは、支台歯(P<0.001)、セメント色(P<0.001)、セラミックの厚み(P<0.001)に、有意に影響を受けた。
また相互作用もこれら3つの変数間でみられた(P<0.001)。
ダークカラーの支台歯は他の変数と比較し、最も大きな色違いを示した。
セラミックスの厚みに伴い、色の違いの有意な減少が見られた。(P<0.01)。
クラウンをオペークセメントで接着した際、色の違いはわずかに減少した。
(参考文献)
Chaiyabutr y, et al. J Prosthet Dent 2011 ; 105(2) : 83-90.
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セラミックスクラウンの接着の際に、セメントの色調の違いで、最終的な補綴物の色調が変化するとされていました。
そのため、色調の異なる複数のセメントと、その色調は同じであるけれども接着力がないペーストが販売されていました。
今回の報告により、セメント色の違いよりもセラミックスの厚みを厚くするという対処方法の方が、術者のイメージ通りの色調を再現できることが分かりました。
また、セラミックスの厚みを最大限厚くしても、支台歯の色調が暗い場合は、完全にはリカバーできないということもわかりました。
そのような支台歯の色調が暗いケースでは、そもそもCAD/CAMグラスセラミックスクラウンを選択しなければよいということにもなるでしょう。
一方、インプラントでジルコニアアバットメントを使用する場合には、支台歯の色調には全く影響されないので、色調に関しては、インプラントより天然歯の補綴の方が一手間多くかかると考えてもよいかもしれません。