日本人女性の樋状根出現率は54%。

・樋状根すなわち根管の水平断面形態がアルファベットのCの字になっている根管を充填する場合、MTAは根管充填材として非常に優れている。
この"Cの字形態の根管"をGPで充填するのは困難であり、このような歯の再感染根管治療を行う場合は、外科的にMTAで逆根管充填することによって対処する場合が多い。
したがって、再根管治療において非外科的にMTAで初めから根管充填する方法は、外科的にMTAで逆根管充填する方法に加えて実行可能な選択肢の一つになる。
(MTA全書 )
・日本大学松戸歯学部歯内療法学講座のSuzukiらで行われた研究が臨床的に参考になるので紹介する。
対象者は日本人の20代男女で他の疾患で撮影したmulti-detectorCTを用いた研究である。
この調査では日本人20代男性の実に36%、女性に至っては54%に樋状根がみられることがわかった。
(日本歯科評論 2017年10月号 )
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下顎第二大臼歯にはかなりの頻度で、樋状根が認められます。
樋状根の根管充填が容易ではないという以前に、根管治療・根管拡大が容易ではありません。
MTAによる根管充填は、現時点では保険診療の範囲内で行うことができません。
根管治療が必要となる状態にならないように、予防したいものです。
しかし、下顎第二大臼歯は後方にあるために歯磨きが一般に難しい歯牙の一つであるだけでなく、歯冠破折や歯根破折が多発する歯牙でもあるので、より注意が必要といえるでしょう。

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