CAD/CAM材料の曲げ強さと疲労に対する酸性溶液の影響
CAD/CAM材料の曲げ強さと疲労に対する酸性溶液の影響
(研究目的)
酸性溶液がCAD/CAM材料の表面粗さ、曲げ強さ、疲労に及ぼす影響を比較調査することを目的とした。
(研究内容)
4種類のCAD/CAM材料(高透過性ジルコニア(Ceramill Zolid HT+ : CZ))、二ケイ酸リチウムガラス(IPS e-max CAD : EC)、ポリマー含浸セラミックス(Vita Enamic : VE)、ナノハイブリットコンポジットレジン(Grandio Blocs : GB))を棒状試験片に加工し、異なるpHの溶液(胃酸:pH1.2、オレンジジュース : pH2.7、白ワイン: pH3.3、炭酸飲料: pH3.9、人口唾液: pH7)に37度、70rrpm震盪下で24時間浸漬した。浸漬後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた表面観察、接触式表面粗さを用いた表面粗さの測定を行った。
また、浸漬後試料に繰り返し過重負荷による疲労を与え、3点曲げ試験により疲労前後での曲げ強さを調査した。
(研究結果)
SEMによる表面観察より、すべてのCAD/CAM材料で酸性溶液浸漬後に表面性状の変化を認めた。
CAD/CAM材料の種類と酸性溶液は、表面粗さに有意に影響した。
曲げ強さはCZ>EC>GB>VEであり、すべての材料間で有意差を認めた。
酸性溶液浸漬と繰り返し過重負荷後に、すべてのCAD/CAM材料で曲げ強さの低下が認められ、特にCZとECで有意に低下した。
(結論)
酸性溶液はCAD/CAM材料の表面粗さに影響し、疲労は曲げ強さに影響した。
酸性溶液はガラスベースのCAD/CAM材料の表面粗さを大きく変化させた。
CZとECは高い曲げ強さを示したものの、疲労耐性はGBとVEが高いことが明らかになった。
(参考文献)
Effect of accic media on flexural strength and fatigue of CAD/CAM dental materials. Elraggal A, R Afifi R, Alamoush RA, Raheem IA, Watts DC. Dent Master,39 : 57-69,2023.