トンネル形成術

Hampら(1975)は5年間の観察研究により、トンネル形成術をした7歯のうち、4歯面にカリエスが発症し、3歯が抜去されたことを報告した。
これをパーセントに換算すると43%の喪失率となり、このことから、トンネル形成術は根面カリエスを発症しやすいので予後が悪いと言われてきた。
しかし、この論文ではトンネル形成術を施した歯が7歯と少なく、この結果のみで結論を出すには不十分なサンプル数である。
その他の報告をみると、平均3.1-5.8年の研究で、カリエスの発症率は4.4-16.7%、喪失率は6.7-14.3%である。
近年の5年以上の観察研究ではトンネル形成術が施された14歯中1歯が喪失したのみであったことが報告されている。
これらのことから、トンネル形成術は以前に考えられていたほど予後は悪くなく、生活歯の状態で保存できるメリットもあり、今でも治療の選択肢になりうるといえる。
しかし、10年を超えるフォローアップ研究がほとんどない。
根分岐部病変 より)
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トンネル形成は予後が悪いものと考えている歯科医師は少なくないのではないでしょうか。
同じようにトンネル形成とはいっても、予後が良い条件は、生活歯で、咬合力がその歯に集中していない、咬み合わせが安定している、メンテンスを定期的に受けているなどが条件となるでしょう。

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