根分岐部病変はルートトランクの長さが関係している。
・下顎大臼歯では頬側に比べて舌側が、上顎大臼歯では近心<遠心<頬側の順にルートランクが長くなります。
したがって、下顎では頬側部、上顎では近心部の根分岐部病変が発症しやすくなります。
(知って得した!歯周治療に活かせるエビデンス )
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個人的に根分岐部病変は、下顎では頬側が、上顎では近心頬側根を取り囲むように進行しているケースが多いように感じていました。
ルートトランクの長さをベースに考えると、根分岐部病変の発症リスクを予想することができます。
また、スピーカーブやモンソンカーブを基に考えると、上顎歯は近心頬側に、下顎歯は近心舌側に傾斜して萌出しているといえます。
これらの方向に歯牙が傾斜すると、歯槽骨から歯牙が飛び出た状態になりやすいのは、上顎であれば近心頬側根、下顎大臼歯では頬側の分岐部ということになります。
そしてそれらを逆に考えると、『スピーカーブやモンソンカーブがきつすぎる人ほど、根分岐部病変になりやすいのではなかろうか。』という仮説を立てることができます。
さらに、スピーカーブやモンソンカーブがきつすぎる人は小さい顎骨の中に大きな歯牙が萌出する傾向にあるために、咬頭展開角が小さく、咬頭干渉が生じやすいのではなかろうかとも考えることができます。
近年、歯列不正のある患者さんに対して、歯列矯正を行っても、歯牙形態が悪いために、うまく咬まないケースが少なくありません。
これも咬頭展開角が小さいことが関係しているように感じています。
また咬頭展開角が小さかったり、上顎大臼歯でいえば、遠心舌側咬頭がなく、3咬頭になっている状態が下顎大臼歯の歯冠破折や歯根破折を惹起している可能性が疑われます。
このような形態が不良な対合歯に対して、欠損した部位にインプラント治療を行っても長期に亘って安定した状態は維持できません。
全体の咬み合わせの改善を図りながら、欠損部位にインプラント治療を行うことが重要であると考えています。