導帯管と萌出障害

・導帯管は歯の萌出路であるため、萌出不全を考える上で重要です。
歯の萌出障害の原因の一つとして導帯管の走行が他の歯や腫瘍によって湾曲している症例もみられます。
過剰埋伏歯では画像上、導帯管が描出されにくい症例が多く、埋伏の原因とも考えられています。
さらに小田らの研究から導帯管内に一致して歯牙腫が形成されていることが明らかになり、その発生源として注目が集まっています。
歯牙腫以外の歯原性腫瘍や膿胞の発生にも導帯管が関与している可能性が示唆され、現在注目されてはじめています。
(参考文献)
Oda M, Miyamoto I, Nishida I, et al. A spatial association between odontomas and the gubernaculum tracts. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol. 2016 ; 121(1) : 91-95.
Ide F, Mishima K, Kikuchi K, et al. Development and growth of adenomatoid odontogenic tumor releted to formation and eruption of teeth. Head and Neck Pathol. 2011 ; 5(2) : 123-132.
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通常混合歯列期の学童期に、当院ではCTを撮影することはあまりありませんが、歯の萌出障害の原因の一つとして、導帯管の走行が他の歯や腫瘍によって湾曲しているケースがあるようです。
また過剰埋伏歯や歯牙腫、歯原性腫瘍や膿胞とこの導帯管が関与している可能性が示唆されているようです。
また、今回紹介する文献はいずれも日本の研究報告ですが、このようなデータの発信元が、CT大国日本であることも関係があるのかもしれません。
インプラント希望者の中には、欠損部位の歯槽骨内に、埋伏歯が横たわっているケースも稀ではありますが存在します。
個人的には、『どのようにして埋伏歯を抜歯してインプラントを生着させるか。』よりも、『そもそもなぜ、その歯が埋伏歯になったか。』についての方が興味があります。
今後の研究報告に期待したいです。

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