末梢によって、咀嚼型を変えられるかはいまだ不明。
・骨格筋と筋力型と並んで、力のリスクを診断する際に、Dr筒井らは咀嚼型の違いに注目している。
咀嚼型は、基本的には脳幹に記憶されていると考えられており、実際、容易に変えることができないと思われる。
しかし、末梢(歯の接触関係の感覚入力)を変えることによって長期間かかって咀嚼型が変わるかどうかは不明である。
個体差の重要な因子と考えられる。
咀嚼型の違いによって、同じ咬合力でも、咬耗や歯折、咬合性外傷、顎関節の異常など病変の発現部位、病態の違いが生まれる。
前頭面投影した切歯点の軌跡が咀嚼側だけで完結する咀嚼型をチョッピング型と呼ぶ。
チョッピング型は、歯に加わる側方力が小さく、歯は咬耗しにくく、顎位は安定しやすい。
白人に比較的多い咀嚼型であるために、標準的な型と考えられ、東アジア人においても咬合面を修正してチョッピング型を描くような咬合接触にすることを推奨する考え方があるが、咬合面の変更によってチューイングを垂直化しようとすると最大咬頭嵌合位に至る前後の干渉が生じやすい。
生来チョッピング型の人は東アジア人にはきわめて少ないものと思われる。
東アジア人に多いグライディング型は、切歯点の前頭面に投影した軌跡のかたちから斜め卵形型と逆三角形型に分けられる。
斜め卵形型の咀嚼型は、咬耗によって上下の咬合面がはまり込む傾向にあり、歯周組織に揺さぶりの力を与え、逆三角形型の咀嚼型では、咬合面の平坦化が進み咬合が不安定になる。
(包括歯科臨床2 顎口腔機能の診断と回復 )
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私が大学院にいたころに、咀嚼型は脳幹に記憶(パターン・ジェネレーター)されていることはすでに明らかになっていました。
しかしながら、それとは逆に、末梢を変えることにより、咀嚼型が変わるかどうかはまだ明らかになっていないことが分かりました。
まだまだ分からないことはたくさんあるのだなと感じました。
また、東アジア人にはグライディング型が多く、斜卵型の咀嚼型と逆三角形型の咀嚼型があること、前者は歯周病が進みやすく、後者は咬合が不安定になることが分かりました。
こうして考えると、インプラント治療を行うにあたり、患者さんの元々もっている咀嚼型に合わせた咬合面形態を製作する必要があります。
ヒトは、このように咬むと痛みがあるというような場合に、その方向への咀嚼運動を回避するようなことをオートマティックで行います。
また、天然歯なら痛みが惹起されそうな咬み方を、インプラント治療を行った部位で行っても、痛みが出ない場合も少なくありません。
天然歯とインプラントが共存する口腔内で、いかにうまく共調した状態を維持するのか、歯科学のより深い理解が必要だと今さながらに感じました。