歯石ができやすい人は齲蝕になりにくいというのは本当なのか?
・歯石ができやすい人は齲蝕になりにくいというのは本当なのか?
年齢11-13歳の子ども2316人を対象に、3年間にわたりフッ化物配合歯磨剤の効果を診るために臨床試験を行いました。
その解析から、歯石の有無と齲蝕の発症との間に興味ある関連が明らかになりました。
試験結果を、「歯石がなかった人」、「歯石ができた人」で分類し、DMFSの増加数をみると、フッ化物歯磨剤の濃度に関わらず「歯石のなかった人」のDMFSは11で、「歯石ができた」のDMFSは8.4と大きな差がありました。
歯石形成は、再石灰化と似た反応のため、歯石ができやすい人の口腔環境は再石灰化が促進しやすい環境ということのようです。
しかし、歯石は多孔質のため、中に細菌や毒素が入り込み除去しにくい、表面が荒いためにプラークが着きやすい、さらに歯石そのものが物理的に歯肉を刺激し炎症の原因となるという考えもあります。
かねてから言われていた「う蝕になりにくい人は歯周病になりやすい」といったことは、歯石ができやすい人は再石灰化環境にあり齲蝕ができにくく、歯石により歯周病が起きやすいと考えると、あながち間違っていないようです。
(参考文献)
Duckworth RM., et al. "Evidence for putting the calculus: caries inverse relationship to work." Community Dent Oral Epidemiol. 2005; 33: 349-56.
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私も、『歯石ができやすい人は齲蝕になりにくい。』という話は誰から聞いたことがありましたが、今回それを支持するエビデンスに出会うことができました。
歯周病で抜歯後にインプラント治療を行った場合、インプラント周囲炎になりやすいというエビデンスがあります。
インプラントは歯ではないので、再度齲蝕が原因でインプラントを失う可能性はもちろんありません。
ただ、単純な不潔性の齲蝕だけでなく、過大な力によるマイクロクラックからの齲蝕が最近では増えてきています。
パワータイプの患者さんは、インプラント治療の前後で、基本的にはパワータイプであることは変わりません。
そのような背景を考えると、齲蝕で抜歯後にインプラント治療を行った場合、セラミックスのチッピングやアバットメントの緩み等のトラブルが増大する一方で、インプラント周囲炎の頻度は少ないかもしれません。
興味深い分野ですね。