ポストスペース最深部は必然的に光照射器の有効照射距離を超えてしまう。
・光照射器の中にはある程度照射対象との距離をとることが可能な製品もあるが、8ミリ程度が限界である。
ポストスペースを形成する場合、Sorensenらの報告からもポスト長は最低でも歯頸部から歯冠長と同程度以上必要であると考えられる。
一般的に、歯冠長の平均値は前歯部で9ミリ前後、大臼歯部で6ミリ前後である。
つまり、ポストの設置が必要な場合、切縁や咬合面からポストスペース最深部までの距離は前歯部で18ミリ前後、大臼歯で12前後となる。
そのため切縁や咬合面付近から光照射を行う場合、ポストスペース最深部は必然的に光照射器の有効照射距離を超えてしまう。
これらの点で、根管系は形態的にも接着性レジンを用いるには不利である。
(参考文献)
Sorensen JA, Martinoff JT. Intracoronal reinforcement and coronal coverage: a stusy of endodontically treated teeth, J Prosthet Dent 1984;51(6);780-784.
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確かにファイバーコアを併用したレジン支台築造は、メタルコアのように歯根破折が生じにくく、再治療が可能な場合は多いです。
しかしながら、ポストスペース最深部の接着が上手くいかないこともまで考えると、従来の光照射器では有効照射距離を超えてしまいます。
また個人的には、デュアルキュアも果たしてどのくらい硬化しているのだろうか?と思います。
そうなると長いポスト長が必要な歯牙を無理に保存する場合は、メタルコアを選択するのもよいかもしれません。
メタルコアの時点で間接法となるために、印象から装着の間に根管が感染するリスクもあります。
また歯根破折のリスクもレジンコアよりも高いですが、基本に忠実なメタルコアであれば、巷でいわれているほど悪いものではないように感じます。
ただ、基本に忠実なメタルコアは印象採得が容易ではないので、一世代前の支台築造では、太くて角ばったメタルコアが装着されていた時代背景もあることでしょう。
ファイバーコアによるレジン支台築造とメタルコアをケースバイケースで使い分ける必要があると思います。
そしてそれでもだめなら、インプラント治療も視野に入ってくることになります。