義歯安定剤の効果的な除去方法

・義歯安定剤の効果的な除去方法
被験者は適合の良好な総義歯装着者20名で、1日3回クリームタイプの義歯安定剤を試用してもらい、1週間ずつ異なる方法で、義歯の清掃を行わせた。
(A)水で義歯を1日3回ブラッシングする。
(B)水とココナッツ石鹸を用いて義歯を1日3回ブラッシングする。
(C)水と歯磨剤(Colgate-Maxima Protecao Anticaries: Colgate-Palmolive)を用い、義歯を1日3回ブラッシングする。
(D)水で義歯を1日3回ブラッシングし、就寝前に5分間、過ホウ酸ナトリウム溶液に浸漬する。
の4通りである。
1週間後、染料を用いて上顎の義歯床粘膜面に残留している義歯安定剤を定量した。
同時に患者の唾液を採取し、カンジタ種を同定し、CFU(コロニー形成単位)を算出した。
その結果、水でブラッシングする(A)の方法に比べて、(B?D)の方法では有意に義歯安定剤の残留量は減少し、特に機械的清掃と化学的清掃を併用した(D)の方法で効果が高い傾向であった。
(参考文献)
Crossover clinical trial of different methods of removing a denture adhesive and influence on th oral microbiota. J Pros Dent 2016.115.
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義歯に歯磨剤を併用し、ブラッシングを行うと、歯磨剤の中の研磨剤によって、義歯には傷がつきやすくなるリスクがあります。
義歯に傷ができるとブラッシングで取り除けない義歯安定剤が生じやすいために、歯磨剤の薬効成分による効果と相殺された可能性があります。
また特に、Dの機械的清掃と化学的清掃を併用した方法で義歯安定剤の残留量が最も高い効果が認められたのも、バイオフィルムを除去したうえで、歯磨剤を併用したプラークコントロールを行う方法が効果的であることとイメージは近いように感じました。

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