やはり柔らかい湿ったう蝕象牙質には細菌が多い。

・Kiddらは、患者の永久歯のエナメル・象牙境にある齲蝕象牙質を採取し、これを培養して含まれる細菌数と採取部位の硬さ、色、湿潤状態との関連を調べました。
その結果、柔らかく湿った齲蝕象牙質に含まれる齲蝕原性細菌数は、柔らかく乾燥した齲蝕象牙質より多く、柔らかく乾燥した齲蝕象牙質の細菌数は硬く乾燥した齲蝕象牙質より多かったことを報告しています。
これらの結果から、硬い齲蝕象牙質では、柔らかい湿ったう蝕象牙質に比べて有意に細菌数が少ないと結語しています。
また、齲蝕象牙質の色に関しては、着色した硬い齲蝕象牙質の細菌数は、着色のない硬い齲蝕象牙質よりは多いが、細菌数は100CFU/ml以下と少ないこと、細菌数は、硬い齲蝕象牙質であれば着色がある場合とない場合との間に有意差がないと報告しています。
したがって、着色した硬い齲蝕象牙質には細菌がほとんどいないので、除去する必要がないといえます。
(参考文献)
Kidd EA, Ricketts DN, Beighton D. Criteria for caries removal at the enamel-dentin Junction : a clinical and microbaiological study. Br Dent J 1996 ; 180(8) : 287-291.
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硬い齲蝕象牙質では、柔らかい湿ったう蝕象牙質に比べて有意に細菌数が少ないこと。
細菌数は、硬い齲蝕象牙質であれば着色がある場合とない場合との間に有意差がないこと、が明らかになりました。
ある程度イメージしていた通りの結果ですね。
また、根面齲蝕では、齲蝕表層から歯髄に至る全域で硬さが一様に低下していることも咬合面う蝕とは異なる特徴といえるでしょう。

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