辺縁を歯肉縁下に設定すると歯肉退縮が生じやすい。

・Orkinらは、全423歯のクラウンを355歯の歯肉縁下マージンと68歯の歯肉縁上マージンに分けて調査を行い、プラークインデックス、歯肉出血、辺縁歯肉との退縮度を記録し反対側同名歯の補綴修復されていない天然歯と比較した。
その結果、歯肉縁下マージンの場合、歯肉出血は2.42倍の割合で生じ、歯肉退縮は2.65倍で生じることを報告している。
また、セメント質の露出をともなう上皮付着の根尖方向へ移動という定義で説明される歯肉退縮出現の頻度は、歯肉縁下マージン群で34%、歯肉縁上マージン群でわずか6%であった。
(参考文献)
Orkin DA, Reddy J, Bradhaw D. The relationship of the position of crown margins to gingival health. J Prosthet Dent 1987 ; 57(4) : 421-442.
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学生時代、歯肉縁下0.5ミリは不潔な領域ではないので、クラウンの辺縁の位置は歯肉縁下0.5ミリと習いました。
今回紹介する文献で、クラウンの辺縁が歯肉縁下の場合、縁上の場合と比較して、歯肉出血は2.42倍の割合で生じ、歯肉退縮は2.65倍で生じるといういわば当たり前の結果が明らかになりました。
20年前の自由診療の補綴物といえばメタルボンドで、歯肉が退縮すると急激に審美性が低下したこともあって、クラウンの辺縁は歯肉縁下に設定した側面もあったと思います。
現在は歯肉縁上でオールセラミックスの方が審美的かもしれません。

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