智歯抜去後の第二大臼歯遠心面に対する機械的デブライドメントの効果は?
このレビュー論文は、智歯抜去後の第二大臼歯遠心面に対する非外科的歯肉縁下デブライドメントの効果のエビデンスを評価することが目的とされています。
レビューの対象となった論文は、当該部位に対するスケーリング、またはルートプレーリングの効果を、プラセボまたは治療しなかった場合と比較した研究で、外科的処置を行った研究は対象としませんでした。
インターネットおよびマニュアル検索によりヒットした論文から、2人のレビュアーによりPRISMA声明に基づいて段階を踏み、論文を除外していきました。
また、割り振りの順番、割り振りの隠蔵機構、マスキング、不完全なアウトカム、選択的アウトカム報告、その他についてクオリティが評価され、
1. バイアスのリスクが低い。 2. バイアスのリスクが高い。 3. バイアスのリスクは不明の3つ分類されました。
結果、752編の論文から、基準を満たした4編の論文が選択されました。
全体的にサンプル数は少なく、15-30人ほどでした。
2編の論文では、スプリットマウスデザインが用いられていました。
3編の論文では、デブライドメントと未治療の場合の結果が比較され、1編では手用スケーラーと超音波スケーラーの効果が比較されていました。
また、論文によっては、歯周組織破壊の徴候がない部位が選択されている場合と、あることが選択基準に含まれている場合がありました。
論文のなかで、割り振り順番の作成、隠蔵機構、マスキング法について、バイアスのリスクが低いと考えられたのは、1編だけで、ほかの論文ではバイアスリスクは高いかまたは不明でした。
また、研究デザインがすべてが異なるため、メタアナリシスはできませんでした。
Leungら(2005)の研究では、超音波スケーラーによる治療の結果、治療しなかった場合と比較してプロービングポケットデプスの減少が有意に多く見られたと報告されましたが、歯肉退縮や臨床的アタッチメントレベル、BOPについては、差異がありませんでした。
Ferreiraら(1997)の研究では、治療2か月後、対照群と比較して、実験群でPPDやCALの改善が多く見られました。
最もクオリティが低いと評価されたOsborneら(1982)の研究では、治療した場合としなかった場合で差が見られませんでした。
これらの研究の結果、超音波スケーラーによるデブライドメントと3度の来院によるプラークコントロールプログラムが、PPDのレベルでみると効果的である可能性が示唆されましたが、研究の規模は小さく、まだそういえるだけの根拠はあまり強くないと考えられました。
(参考文献)
Valeria R, Patricio M, Rodrigo L: Effect of mechanical debridement on dital periodontal aspect of second molars after the extraction of third molars: A systematic review of periodontology. 83(5) : 595-601,2012.
*****
当該部位に基本治療を行ったうえで、反応が悪い場合には、外科処置を行うべでき出ると考えています。