野菜を食べて、虫歯予防?!

・これまでの基礎研究で、口腔細菌叢を1-5時間程度の短時間砂糖とともに培養する際に、硝酸塩が存在すると、培養環境の酸性化を抑えられることが報告されています。
この結果を受けて、硝酸塩を多く含むビーツの根のサプリメントの単回投与が、実際のヒトの口腔内の糖質発酵に由来する唾液の酸性化を抑制できるかどうかを調べる実験が行われました。
その結果、硝酸塩摂取4時間後に砂糖水で洗口しても、細菌叢による乳酸の産生は少なく抑えられており、菌叢中でRothia属の1種が増加していました。
口腔内には、Rothia属やNeisseria属のように、硝酸塩を還元して、酸を中和するアンモニアを産生する菌がいますが、唾液細菌叢中でRoshia属やNeisseria属の比率が高いと乳酸産生量が少ないという関係が示されました。
これらの結果は、口腔内に硝酸塩が存在すると、口腔細菌の糖質発酵時におこる口腔環境の酸性化を抑制できる可能性を示しています。
今後、硝酸塩を多く含む野菜(ビーツ、ほうれん草、小松菜、レタス)の摂取が歯の健康に与える長期的な影響を評価する必要があるでしょう。
(参考文献)
Rosier BT, et.al. A single dose of nitrate increases resilience against acidification derived from sugar fermentation by the oral microbiome. Front Cell Infect Microbiol 2021 ; 11 : 692883.
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硝酸塩を多く含む野菜を摂取すると、口腔内の酸性化を抑制することで、虫歯を予防することができる可能性が示唆されました。

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