歯周病はなぜ痛くないのか?
P.ジンジバリスに代表される歯周病原細菌が作る短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、イソ酪酸、吉草酸)のうちn-酪酸(以下、酪酸)によって神経突起が萎縮して痛覚が阻害されるのが、「歯周病が痛くない」ことの一因です。
痛覚は生体防御機構の一つです。
痛覚が生じる部位には好中球などが集まって免疫システムが作動するのですが、痛覚が阻害されるとそれらの機構の働きが退化し、病態が進行していきます。
これは、歯周病原菌の戦略といえるかもしれません。
嫌気性菌である歯周病原菌は糖代謝できないため発育が遅く、病原性も強くありません。
いわば弱い菌なので、免疫機構が正常に働いてもらっては困るという事情もあります。
酪酸を出すことで免疫機構の働きを低下させ、生存・増殖のチャンスをつかんでいるとも考えられるのです。
(アポロニア21 2024年8月号 )
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歯周病が痛くない理由に、歯周病原細菌の出す酪酸が関与し、免疫機構の働きを低下させていることがあるようです。