セメント質の厚みによりSRPの仕方を変えるべきか。
最近の研究によると、「細菌由来の内毒素は、歯周病罹患歯のセメント質表層に存在し、深くは浸透していないため、セメント質はできる限り除去するべきではない」と報告されています。
除去すべきセメント質表層というのは、20-30μmの厚さです。
では、良く研磨された手用キュレットを使用した場合、1回のストロークでセメント質はどれくらい厚さが削れるのでしょうか?
個人差もありますが、1回のルートプレーニングで約5-30μm削れます。
一方、セメント質は部位によって厚みが変わってきます。
歯頸部2/3は約20-50μmですが、根尖部1/3では150-200μmあります。
歯頸部に近い部分、つまり浅いポケットの部位をSRPする場合、仮に1ストロークで10μm削れると考えると、キュレットで2-5回ストロークすればセメント質はなくなってしまいます。
特に浮腫性の歯肉はSRPによる退縮が大きいため、オーバーデブライドメントにより知覚過敏が起こりやすくなります。
またポケットが浅い場合ではSRPで歯石が取れる確率は高いことなども考慮すると、過剰なSRPは不要といえるでしょう。
それに対して、根尖部1/3のセメント質は、歯頸部と比較すると比較的厚みがあります。
深いポケットでは歯石が取りにくい一方で、セメント質が厚く歯肉退縮による知覚過敏の影響を受けにくいことから、こちらはアンダーデブライドメントにならないような注意が必要です。
(デンタルハイジーン 2018年8月号 )
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歯頸部2/3と根尖部1/3でセメント質の厚みが異なるために、歯頸部2/3ではオーバーデブライドメントが、根尖部1/3ではアンダーデブライドメントが起こりやすいことが分かりました。
ただ、根尖部1/3まで骨吸収があるようなケースは、水平的骨欠損では、歯冠歯根比が不良なので抜歯も視野に入るかもしれません。
ちなみに、下顎第一大臼歯の平均的歯冠長が頬側で6.87ミリ、歯根長が13.68ミリです。
これを元に考えると、根尖部1/3まで歯槽骨吸収が進行した場合、歯冠-歯根比は15.99ミリ:4.56ミリですから、3.5:1となります。
水平的骨吸収なら、単冠で前後の歯があるなら、保存可能かもしれませんが、ブリッジの支台歯では保存は厳しいかもしれません。