インプラントと若返りの最近のブログ記事
都道府県別子ども割合
子どもの割合は沖縄県が最も高く、秋田県が最も低い。
都道府県別子ども割合(2023年10月1日現在)によると、全国平均は11.4%。
沖縄県が16.1%で最も高く、秋田県が9.1%で最も低いことが明らかになりました。
また地域別では九州・沖縄地方で子ども割合は高く、北海道・東北地方で子ども割合は低いことも明らかになりました。
(日本歯科評論 2024年8月号 )
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九州や沖縄が子ども割合は高いというデータです。
外国人はどれほど含まれているのかのデータの記載はありませんが、興味深いデータであると感じました。
高血圧の有病率は、低所得者が高い。
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科健康推進歯学分野の相田潤教授の研究グループは、日本人の高血圧の健康格差の拡大傾向や、肥満などが格差に寄与する修正可能なリスク要因として重要であることを明らかにした。
(結果)
男性延べ68684025人、平均年齢54.7±9.6歳、女性延べ59118221人、年齢56.7±10.0歳だった。
高血圧の有病率は、高所得者層(男性33.3%、女性21.5%)よりも低所得者層(男性48.6%、女性40.2%)の方が高いという健康格差が認められた。
(日本歯科評論 2024年6月号 )
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私もサラダにドレッシングなしで食べたり、刺身に醤油をつけないで食べたりしているので、今回の結果も生活実感としては納得の内容です。
インプラントと義歯では、インプラントの方が格段に咀嚼力が上なので、インプラントの方が少ない調味料で満足できる可能性があります。
咬合挙上の安全性
Abduoによる咬合挙上の安全性に関する4つのポイント
1. 許容される挙上量
・患者は最大5ミリの挙上に適応できる。
・必要最小限の挙上量を選択するべき。
2. 患者の適応
・咬合挙上後の適応は、1か月程度で得られる。
・新たな咬合高径の最終決定前に1か月以上の経過観察が望ましい。
3. 適切な挙上方法
・固定性装置より可撤性装置の方がトラブルが少ない。
・可撤性装置のトラブルは、装置の装着による不快感に関連している。
4.咬合挙上にともなう咬合付与
・中心咬合位と咬頭嵌合位を一致させる。
・咬合様式はMPOまたはグループファンクションが望ましい。
(参考文献)
Abduo J. Safety of Increasing vertical dimension of occlusion : a systematic review. Quitessence Int 2012 ; 43(5) : 369-380.
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個人的には、咬合挙上はなるべく最小限が望ましいと考えています。
挙上することができる許容量も、標準偏差が大きいような印象があります。
義歯が痛くて使えていない方は、外側翼突筋は萎縮しているかもしれない。
・外側翼突筋は義歯を装着している場合、垂直的な咬合を行うことが多く、顎を左右に引き出すなどの複雑な動作に慣れていない。
上下に固定性の即時荷重インプラントの上部構造が装着されている場合、硬い食物を摂取するとき、顎は左右に動作することが多くなる。
このとき、顎関節だけでなく、頬骨周辺にも関連痛が広がることがある。
顎二腹筋は喉の部分、下顎の切歯部分などの痛みが出ることがある。
咬筋、側頭筋の筋力の筋力がつくと痛みは軽減することが多い。
(ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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『入れ歯が痛くてつらい。』という主訴で、インプラント治療を希望される方の咀嚼様式は、チョッピングタイプ(垂直咬合)からグラインドタイプ(左右に広がる複雑な咬合)に変化するものと考えられます。
咬めない状態が長期間続くと、咀嚼筋や表情筋が萎縮するので、急にインプラントで咬めるようになると、筋肉痛のような痛みを生じる場合があります。
当然のことながら、筋肉が正常に発達するようになれば、そのような痛みは消失することが多いわけです。
インプラントでの咀嚼訓練により表情筋も正常な状態になる。
・咀嚼筋、舌骨上筋により下顎運動が行われ、歯により食物は粉砕される。
しかし、このままでは食物が頬側(口腔前庭側)、舌側(固有口腔側)に落ちてしまう。
そこで、舌と頬粘膜が食物をうまく歯列にのせて咀嚼していく。
この頬粘膜を動かしているのが、表情筋でも頬筋となる。
(ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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奥歯はすでに喪失し、前歯はフレアアウトした状態でようやく重い腰を上げ、インプラント治療を希望されて来院される方がいます。
そのような患者さんの治療では、インプラントが骨結合し、プロビジョナル(仮歯)で咀嚼訓練ができる時期になると、"表情のある良いお顔"に変化してくることが、歯科臨床では多く見受けられます。
これは、咀嚼訓練をするにあたって、舌筋、口輪筋、頬筋などの口腔周囲筋の協調運動訓練も同時に行っていることになるからと考えられます。
すなわち、外側は口輪筋や頬筋で歯列に寄り添い、内側は舌筋で歯列に寄り添うような運動を協調して行うことができて初めて、上下の歯列の上で食べ物を上手に咀嚼することができるのだと思います。
またその後、口蓋に舌を押し付けて陰圧を作りだし、咀嚼した食物を咽頭へ移送することも、私たちは日常的に行っています。
(これを嚥下といいます。)
これには、舌骨上筋群の協調運動も関わってくるものと考えられます。
咀嚼や嚥下を通して、表情を司る表情筋や顎周りの舌骨上筋群が正常な働きをすることによって、結果的に二重顎が解消した若々しい印象の持ち主に変化するのだと考えられます。
また、インプラントを介して奥で咬めるようになってくると、咬み合わせの中心が後方に変化するために、身体の姿勢も正しい状態になることも、若い印象には関係していると思います。
インプラントでの咀嚼によって得られるメリット
・義歯の不適合により痛みを我慢して、咀嚼機能を充分に果たすことのできない義歯、または義歯不装着になっている人に比べ、インプラント補綴により実現される食物の十分な咀嚼は、以下のような利点が挙げられる。
1. 脳の活性化とリラックス作用
2. 脳の血流量の増加(義歯と比較して)
3. 口腔機能向上による誤嚥性肺炎の予防
4. 転倒による大腿骨骨折などの予防
5. 低アルブミン症などの栄養改善
6. 活性酸素の消去
7. 運動機能の向上
8. 骨粗鬆症の抑制(十分な咀嚼が不適合義歯によってなされないことによる)
9. 老化の防止
10. 運動機能の向上
11. アルツハイマー型認知症などの防止
12. 食物の発がん物質の発がん性の減弱
13. 肥満の抑制
14. 十分な咀嚼を可能とすることから糖尿病の治療効果の向上
15. 大脳皮質の神経活動を活性化する。
16. 免疫機能の増進、唾液分泌を促進させる。
17. 十分な咬合回復ができ、脳の前頭前野の代謝量を増加させ、ワーキングメモリー能力を向上させる。
18. 姿勢制御の増進
などに効果があると考えられる。
(ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
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インプラントは単純に咬めない状態が咬めるようになるというものではありません。
インプラントが体全体へどのような影響を与えているかといえば、脳への影響、肺炎予防、大腿骨骨折からの寝たきりの予防など挙げればきりがありません。
当院では、治療前後での顔貌や身体の姿勢の変化を記録していますが、インプラント治療や歯列矯正治療で問題のある咬み合わせを改善すると、病的な印象が健康的な印象に変化してくることは少なくありません。
これらもインプラント治療を通して、患者さんの全身の健康レベルの改善に寄与していきたいと考えています。
男性の方が女性よりインプラントが必要?!
・深井らの沖縄県宮古島における40歳以上の住民5730名を対象とした15年間のコホート研究で、機能歯数10歯以上を有する人とそうではない人の間では80歳を超えると生存率に有意差が認められた。
(参考文献)
Fukai k, Takiguchi T, Ando Y, Aoyama H, Miyakawa Y, Ito G, Inoue M, Sasaki H. Dental health and15-year mortality in a cohort of community-residing older people. Geriatr Gerontol Int 2007; 7 : 341-347.
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80歳以上まで長生きしたいなら、その時点でお口に機能している歯が10本以上存在していることが、"長生きのための秘訣"の一つとなりうるというエビデンスです。
また、男女とも80歳以上で有意差ありとされていますが、男性でp=0.003、女性でp=0.04と結果に大きく差があります。
p値(有意差)というのは、小さいほど両群に差があると判断します。
そうなると、80歳以上の高齢男性で、しかも機能歯数が10歯未満の人は本当に少数派で、ほとんどが10歯以上の機能歯数があるということになります。
男性で長生きしたいなら、女性以上に歯の数にこだわる必要があるといえるでしょう。
また、そのような意味では、女性よりも男性の方が長生きするために、(歯がないのなら)インプラントがより必要であるともいえるでしょう。
それにしても、興味深いデータです。
10歳若返る方法
・MohindaとBulmanは、咬合高径を回復することにより、多くの症例で見た目が5‐10歳若く見えるようになったことを報告している。
(参考文献)
Mochinda NK, Bulman JS. The effect of increasing vertial dimension of occlusion on facial aesthetics. Br Dent J 2002 ; 192(3) : 164-168.
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インプラント治療で見た目が10歳以上若返るケースは、奥歯がないまま長期間経過したものを治療したケースです。
通常、奥歯がなくなると、垂直的に咬合力を受け止める力が弱くなるので、前歯が倒れる力がより多くかかります。
若いころはそうでもなかったのに、50歳を過ぎたあたりから、出っ歯になってきた方は、「奥歯がない」あるいは極端に「奥歯が低い」状態であるはずです。
また奥歯がなくなることで、"老け顔"になりやすい理由はどのあたりにあるのか考えてみましょう。
まず、奥歯がないことにより変化するのは、食事の内容です。
食べ応えのある食事は回避するようになりますから、楽に食べることができる炭水化物と脂肪の多い食事が多くなります。
(ここで、問題なのは、食事の準備をしている女性の多くは、自分の食べやすいものを家族に食事として出すので、家族全員がメタボリックシンドロームになりやすいということです。)
これにより、当然、体脂肪率は増加します。
("中年太り"という言葉がありますが、中年だから太るのではなく、中年になり、歯の治療をおろそかにしているから、太るのではないか?とすら思います。)
またそれだけでなく、咀嚼筋を鍛えることができないので、顎周辺に脂肪が付き、二重顎になります。
そして、さらに"老け顔"になる原因には、身体の姿勢があります。
咬み合わせと身体の姿勢には密接な関係があるので、身体の姿勢が正しい方向に変化していきます。
(大臼歯がなくなり、咬み合わせに問題を抱えている人は、姿勢にも問題を抱えるだけでなく、身体の重心が定まらず、どこかふらふらした印象があります。)
これらが、インプラント治療をすることで、10歳若返ることと関係していると考えられます。
また、インプラント治療を受ける方に共通する特徴とは、治療前の状態が肌の張りや艶がなく、死んだ魚のような目をしているという点です。
咬めないということが、どれほど身体の不調に影響を与えているかを考えさせられます。
健康などうかは、0.5秒で見た目で判断できますが、どこか問題を抱えている人のうちの何割かは歯の問題を抱えているかもしれません。