インプラントでの咀嚼訓練により表情筋も正常な状態になる。
・咀嚼筋、舌骨上筋により下顎運動が行われ、歯により食物は粉砕される。
しかし、このままでは食物が頬側(口腔前庭側)、舌側(固有口腔側)に落ちてしまう。
そこで、舌と頬粘膜が食物をうまく歯列にのせて咀嚼していく。
この頬粘膜を動かしているのが、表情筋でも頬筋となる。
(ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケア vol.2 )
*****
奥歯はすでに喪失し、前歯はフレアアウトした状態でようやく重い腰を上げ、インプラント治療を希望されて来院される方がいます。
そのような患者さんの治療では、インプラントが骨結合し、プロビジョナル(仮歯)で咀嚼訓練ができる時期になると、"表情のある良いお顔"に変化してくることが、歯科臨床では多く見受けられます。
これは、咀嚼訓練をするにあたって、舌筋、口輪筋、頬筋などの口腔周囲筋の協調運動訓練も同時に行っていることになるからと考えられます。
すなわち、外側は口輪筋や頬筋で歯列に寄り添い、内側は舌筋で歯列に寄り添うような運動を協調して行うことができて初めて、上下の歯列の上で食べ物を上手に咀嚼することができるのだと思います。
またその後、口蓋に舌を押し付けて陰圧を作りだし、咀嚼した食物を咽頭へ移送することも、私たちは日常的に行っています。
(これを嚥下といいます。)
これには、舌骨上筋群の協調運動も関わってくるものと考えられます。
咀嚼や嚥下を通して、表情を司る表情筋や顎周りの舌骨上筋群が正常な働きをすることによって、結果的に二重顎が解消した若々しい印象の持ち主に変化するのだと考えられます。
また、インプラントを介して奥で咬めるようになってくると、咬み合わせの中心が後方に変化するために、身体の姿勢も正しい状態になることも、若い印象には関係していると思います。