インプラント治療で余命が伸びる。

・健康的な生活習慣がアメリカ人の寿命に及ぼす影響
78865人を対象とした調査研究「Nuses' Health Study(1980-2014)」と44351人を対象とした調査研究「The Health Professionals Follow-up Study(1986-2014)」の2つのデータをもとに統計解析を実施した。
30歳から 75歳までの男女を対象とし、身長、体重、食習慣、運動習慣、喫煙歴、サプリメント(ビタミン剤)の使用、解熱鎮痛剤(アスピリン)の使用、家族の病歴について質問調査した。
健康的な生活習慣スコアは、以下の5つの条件にいくつ一致するか否かを調べた。
1. 健康的な食習慣
Alternate Healthy Eating Index scoreを用いて食事調査し、スコアの上位40%を健康的な食習慣であると定義し、1点加算した。
食習慣スコアは以下の項目で形成される。
野菜、果物、ナッツ、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸、w-3脂肪酸は1日の推奨量を摂取していること。
赤身肉・加工肉、糖添加飲料、トランス脂肪酸、食塩の摂取量を制限していること。
2. 健康的な運動習慣
1日30分以上の中等度-強度の身体活動を継続していること。
3. 飲酒習慣
適度の飲酒(純アルコールで女性5-15g/日、男性5-30g/日)を遵守していること。
日本では純アルコール20gで1合と定義されている。
各種アルコール飲料に換算すると、ビール中瓶(500ml)は1本で1合であり、日本酒やワインは180mlで1合である。
4. 喫煙歴
現在、喫煙していないこと。
5. 適正体重
正常体重【体格指数(BMI):18.5-24.9kg/m?】を維持していること。
各項目の条件に一致している場合、1点加算するため、0点は高リスク生活習慣である。
生活習慣スコア0、1、2、3、4、5点と分類し、点数が高いほど健康的な生活習慣とした。
追跡期間中、2年に1回再調査し、結果に反映させた。
研究結果
34年間の追跡期間中に4万2167人の死亡(がん死1万3953人、心血管疾患死1万689人)が確認された。
まずは死因と生前の生活習慣スコアを比較して、生活習慣が死因に関連があるか調査した。
調査の方法としてはハザード比を算出し、死因と生活習慣の相対的な危険度を客観的に比較した。
なお、ハザード比は1を基準として、数字が小さくなるほど生活習慣が各疾患の発症しやすくなる危険因子であることを示す。
生活習慣スコア0点群(高リスク生活習慣群)に対する5点群(健康的な生活習慣群)のハザード比は全死亡率が0.26であり、死因別に調査したところ、がん死が0.35であり、心血管疾患死が0.18だった。
特に心血管疾患死はハザード比が低く、健康的な生活習慣によって予防できる可能性があることが示唆される。
寄与危険割合は、寄与危険が暴露軍の罹患リスクに占める割合を示す。
すなわち、高リスクの生活習慣を続けていたことが影響して各疾患の発症する割合を算出した。
健康的な5つの生活習慣因子を遵守しなかった場合の寄与危険割合は全死亡が60.7%、がん死が51.7%、心血管疾患死が71.7%だった。
特に心血管疾患は生活習慣と密接な関係があり、健康的な生活習慣で予防できる可能性が示唆された。
次に生活習慣が寿命に与える影響を調べたところ、5つの健康的な生活習慣を一つも遵守しなかった場合(高リスク生活習慣群)、女性の平均寿命は79.0歳、50歳時の平均余命は29.0年、男性ではそれぞれ75.5歳、25.5年と推測された。
一方、5つの健康的な生活習慣をすべて遵守した場合(健康的な生活習慣群)、女性では93.1歳、43.1年、男性では87.6歳、37.6年と推測された。
生活習慣スコア0点群(高リスク生活習慣群)に対する5点群(健康的な生活習慣群)の50歳時における平均寿命は、女性で14.0年、男性で12.2年延長した。
(参考文献)
Impact of Healty Lifestyle Factors on Life Expectancies in the US Population. Li Y , Pan A , Wang DD , et al. Circulation. 2018
*****
健康的な生活習慣を1 健康的な食習慣、2 健康的な運動習慣、3 飲酒習慣、4 喫煙歴、5適正体重の5項目に着目して、寿命がどのくらい変わるのかをアメリカ人で調査した文献の紹介です。
5つすべての項目を遵守すると、一つも純しない場合と比べて、女性で14.0年、男性で12.2年平均寿命が延長したという結果が得られました。
噛めない人が、インプラント治療を受けて咬めるようになると、1・2・5が改善する可能性が高胃と考えられます。
すなわち、咬めない頃は脂肪と糖質に偏った食事をしている人が、インプラントで咬めるようになることで、バランスのとれた食事が可能となります。
また咬めるようになると身体の姿勢も変化して疲れにくい身体になるので、BMIが適正な値にシフトしたり、体を動かすことが億劫でなくなったりする変化がみられるようになります。

2018年11月20日

hori (08:37)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

« 根管が見落とされている確率 | ホーム | 破傷風による開口障害 »

このページの先頭へ