なぜ、少量の食塩が甘みを引き起こすのか?

なぜ、少量の食塩が甘みを引き起こすのか、その謎を岡山大学薬学部の山下教授、東京歯科大学短期大学の安松教授らが解明した。
食塩水の場合、甘いと感じるという現象が起こるが、詳細なメカニズムは解明されていなかった。
この研究では、受容体たんぱく質の形状を原子レベルで調査できる「立体講義解析」で、メダカがもる味覚受容体「T1r2a-T1r3」の味物質センサ-領域の立体構造を調べたところ、メダカの受容体が感知する味物質のアミノ酸が結合するポケットのそばに、塩化物イオンが結合していることが分かった。
この塩化物イオン結合ポケットは、甘み受容体とうまみ受容体を含め、ほとんどの動物が持つ受容体にも存在し、アミノ酸などの味物質と同様の構造変化を受容体のセンサー領域に引き起こすと判明。
また、東京歯科大学短期大学の安松教授がマウスの味神経を用いた実験で、塩化物イオンがマウスの甘み受容体を介して、甘み神経応答を引き起こし、味覚として感知することを解明した。
何も含まれていない水と比較して、マウスは薄い塩化物イオンを含む水をより好んで飲み、甘みと同様の好ましい味として塩化物イオンを知覚していた。
その結果、食塩濃度が高くなると、塩味受容体が感知する塩味の方を強く感じて、味覚の混合抑制という現象が起こり、食塩の甘さに気づきにくくなっていると推測されることが分かった。
(アポロニア 21 2023年5月号 )
*****
「何も含まれていない水と比較して、マウスは薄い塩化物イオンを含む水をより好んで飲み、甘みと同様の好ましい味として塩化物イオンを知覚していた。」
というのは、何とも興味深い結果ですね。
動物が甘みを好むのはエネルギー源となるのでもっともなことだと思いますが、塩化物イオンも濃度が低ければ、同じように必要不可欠なものであると体は認識しているということなのでしょう。

2023年6月10日

hori (08:03)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

« 歯根膜組織の増殖能は外科的侵襲で約6倍に! | ホーム | 「老衰」による死亡が第3位に。 »

このページの先頭へ