骨膜細胞から産出される、がん進行を抑えるTimp1とは?!

・腫瘍が骨に近接した浸潤前組織では骨膜の厚みが3-4倍に増加することを見出した。
腫瘍が近づくと骨膜の細胞からTimp1というタンパク質の分解を抑える分泌因子が産出され、これによりコラーゲンが蓄積することで骨膜が分厚くなり物理的にがんの進行を抑えること、Timp1遺伝子を破壊したマウスでは口腔がんの浸潤が顕著に増悪し早期に死に至ることを発見した。
(参考文献)
The periosteum provides a stromal defence against cancer invasion into the bone. Nakamura K, Tsukasaki M, et al. Nature. 2024. 634(8033) : 474-481.
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口底がん近接部位の骨膜肥厚の変化をがん浸潤の前後で比較したところ、健常部位に比較して腫瘍近接部位は統計学的に有意な差(P=0.0054)をもって厚みを増し、一度がんが浸潤してしまうと、統計学的な有意差(P<0.0001)をもって健常部位よりも骨膜厚さを減ずることが明らかになりました。
これにより、がん浸潤に生体が対抗するべく隣接する骨膜の細胞からTimp1というタンパク質の分解を抑える分泌因子が産出され、その結果骨膜の厚さが厚みを増すということになりました。
Timp1の量を何かしらの手法で増大可能であれば、がん浸潤を防ぎ、医学の進歩に寄与することでしょう。

2025年3月 1日

hori (09:17)

カテゴリ:インプラントと全身の健康

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