遺伝子型による歯周病の予後判定
・遺伝子型による歯周病の予後判定
細菌学的手法による予後判定によってもたらされた結果の不確実性により、予後判定は宿主のもつ病気のなりやすさ、つまりSusceptibilityの把握に着目されるようになった。
歯周炎への遺伝的因子の影響については、Michalowiczらが報告しており、一卵性双生児は一緒に生活していても、別に住んでいても歯周病の罹患状況が二卵性双生児ででともに生活している場合よりも近似していることから、遺伝的因子は環境的因子よりも歯周炎に強い影響を与えることが示唆された。
Kornmanらによって、IL-1の遺伝子型の相違によって歯周病の進行度が異なること(IL-1遺伝子型は高いレベルでIL-1遺
産生との関連があり、重度歯周病患者の86%は喫煙習慣かIL-1genotype(+)を示した)が報告されたのを機に遺伝的因子と臨床的成績を比べた報告がされるようになった。
また、前述のMcGuireによる一連の予後に関する論文のうち最後に発表されたのが、このIL-1の遺伝子型の違いと臨床結果との関連を調べたものである。
歯の喪失率については、患者がIL-1遺伝子型の違い(+)によって2.7倍高まり、ヘビースモーカーの場合は2.9倍高まり、両方の場合は7.7倍高まるというものであった。
(科学的根拠に基づく歯周病へのアプローチ )
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Michalowiczらが報告した『歯周炎への遺伝的因子の影響について』によって、遺伝的因子は環境的因子よりも歯周病に強い影響を与えることが明らかになりました。
これはすなわち、歯磨きの上手下手よりも歯周病になりやすい体質かどうかの方が、歯周病のリスクに影響を与えるということです。
確かに歯磨きをまめに行っている割にお口のトラブルが絶えない人がいる一方で、大して歯磨きに熱心ではないのにお口のトラブルがほとんどない人もいる現状と一致するようにも感じます。
また、Kornmanらが報告したように、IL-1の遺伝子型の相違によって歯周病の進行度が異なることが明らかになりました。
それによると、歯の喪失率は、患者がIL-1遺伝子型の違い(+)によって2.7倍高まり、ヘビースモーカーの場合は2.9倍高まり、両方の場合は7.7倍高まるという結果だったようです。
当然のことながら、IL-1遺伝子型の違い(+)は持って生まれた体質なので変えられないのでしょうけれど、喫煙をするかどうかは本人の意思に委ねられています。
こうして考えると、歯の喪失率を大幅に減少させるためにも、インプラント治療を長持ちさせるためにも、まずは喫煙習慣はない方がいいということになりますね。